「男は管理職、女は平社員」 不平等との闘い30年、国連に見た希望

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岡林佐和 大貫聡子

 大阪府の西村かつみさん(76)は14日、関西空港からスイス・ジュネーブへ向かう。目的地は、8年ぶり5回目の国連だ。30年前には縁もゆかりもなかった地には、悔しさも喜びも、希望ももどかしさも、人生のすべてが詰まっている。今回はバトンをつなぐ旅ともなりそうだ。

 同期の男性たちはだれもが管理職となっていた。後輩の男性も昇進。なのに、女性たちはみな平社員のままだった――。

 高校を出て入社した住友電気工業(大阪市)で、職場のおかしさに確信を持ったのは40代に入ったころだった。結婚し、2人の娘が生まれた後も働き続けていた。

 「自分の食いぶちは自分で稼ぐ」。女性は結婚したら退職するのが当たり前とされていた時代だが、裕福とはいえない家庭で育った西村さんにはそんな思いがあった。

 なぜ、女は責任ある仕事を任せてもらえないのか。働く女性たちの勉強会に参加した。まもなく、この悔しさを「女性差別」と受け止め、向きあってくれる場所があると知った。ニュースや教科書でしか知らない、国連という舞台だった。

 実情を訴えるリポートを届けられる。審議を傍聴できる。それなら行ってみよう。仲間とともにニューヨークへ飛んだのは1994年、45歳の冬だった。この旅が日本を変える力になるとは、そのときには想像もしていなかった。

女性の人権に関する「世界の憲法」といわれる女性差別撤廃条約にもとづき、国連の女性差別撤廃委員会が今月、日本政府によるジェンダー平等への取り組みを8年ぶりに審査し、勧告を行う。記事後半では、その審査に声を届けようと5回目の国連の地におもむく西村さんの歩み、そして新たな仲間の思い、今回の審査の注目ポイントなどをお届けします。

 英語で日本の実態を記したビ…

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この記事を書いた人
岡林佐和
経済部
専門・関心分野
税と社会保障、ジェンダー平等政策
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    小室淑恵
    (株式会社ワーク・ライフバランス社長)
    2024年10月14日14時54分 投稿
    【視点】

    20代の頃の自分は、自分の実力で、男女の差別なく仕事の成果が認めてもらえているのだと思っていた。でもそうではない。 記事を読んで、現在76歳の西村かつみさんたちが、30年前から5回もジュネーブの国連に乗り込み「日本の実態を記したビラと翻訳機

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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2024年10月15日6時27分 投稿
    【視点】

    安保理が戦争を止めることが出来ないことで「国連の機能不全」などと言う人は多いが、国連の機能は安保理だけではない。こうした人権関わる分野では、国際社会における基準を示し、多くの人の人権状況を改善してきた。もちろん、こうした背景には国連での議論

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