第14回ずさんな捜査「県警史に残る恥」 検証取材は難航 教訓どう生かす

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平川仁 増山祐史 堀之内健史

 静岡地裁は9月、袴田巌さん(88)の再審公判の無罪判決で、犯行着衣などの証拠に捏造(ねつぞう)があったと認定した。

 捏造なら、誰が、どんな判断でやったのか――。取材班は当時の静岡県警関係者をたどった。

 証言の中には、犯行着衣として重要証拠とされた「5点の衣類」について、「詳しい科学鑑定手法をとることを上司に進言したが断られた」との話があった。科学捜査を担当した元県警職員が10年ほど前、妻に打ち明けていた。「それが認められていれば、(誰の衣類かがわかり)こんな面倒なことにはならなかったのに」とも語ったという。だが、夫も上司も他界しており、それ以上の確認はできなかった。

 「20年以上前に亡くなりました」「せっかくで申し訳ないですが、7年前に病死しました」。1966年の事件から58年。関係者の多くは亡くなり、病気で話ができない人も多かった。記憶の断片すら得がたくなっていた。

現役県警幹部らの「本音」

 現在の県警はどう捉えているのか。無罪判決後、県警は報道機関に「コメントは差し控える」とだけ回答した。ただ、個別に取材すると、当時の捜査への疑問を投げかける人もいた。

 刑事畑が長い県警幹部は「あ…

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この記事を書いた人
増山祐史
東京社会部|国土交通省担当
専門・関心分野
運輸行政、事件事故、独占禁止法、スポーツ
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    小熊英二
    (歴史社会学者)
    2024年10月5日8時58分 投稿
    【視点】

    この連載は手間がかかっている。貴重な証言が多いので読まれるべき。

    …続きを読む
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    江川紹子
    (ジャーナリスト・神奈川大学特任教授)
    2024年10月5日11時0分 投稿
    【視点】

     良記事だった。特に、現在の静岡県警幹部らへの取材が興味深い。「5点の衣類」で有罪にするのは「いくらなんでも無理」というまっとうな感覚と、その発見過程についての率直なコメントに大きくうなづき、少し安心した。  検察が再審でも展開した筋書きは

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