「山口9人目」めざした林氏、県内党員票の過半数 安倍氏には及ばず

大室一也 白石昌幸 山野拓郎 青瀬健

 自民党の新総裁に、石破茂・元党幹事長が選ばれた。山口県内から9人目の首相をめざして立候補した林芳正・官房長官は1回目の投票で9人中4位。県内の議員・党員はだれに投票したのか。林氏の支持者や自民党県連、県内の主な政党は結果をどう受け止めたのか。

 林氏は県内の党員・党友の有効投票の56%にあたる6650票を獲得。高市氏の2647票、石破氏の1091票を大きく上回った。

 ただ、故・安倍晋三氏が「8人目の首相」をめざした2006年の総裁選で、安倍氏は95%にあたる1万3023票を獲得しており、この時ほど県内の党員・党友の支持を集めることはできなかった。21年の前回総裁選で、安倍氏は高市氏を支援しており、そうした経緯も影響を与えたとみられる。

 決選投票では、県連の1票は、県内の党員・党友投票で石破氏を上回った高市氏に投じられた。

 総裁選の終了後、県連所属の国会議員らに取材したところ、投票先を明かさない人が多かった。

 高村正大衆院議員は「いろんな人間関係のしがらみがあるから」と、2回の投票とも投票先を明かさなかった。高村氏は麻生派に所属しており、麻生太郎副総裁は同派メンバーに高市氏支持の方針を伝えたとされる。その高市氏が敗れたことで、「多分我々の派閥は冷や飯を食うことになるらしいです」と語った。

 北村経夫参院議員は、1回目の投票先は明かさなかったものの、決選投票では高市氏に投票したと述べた。候補9人の中に若手もいたことに触れ、「自民党も若い力が出てきた」と評価。「新しい総裁の下、一致団結して選挙に臨んでいきたい」と話した。

 江島潔参院議員は2回ともだれに投票したかコメントせず、「派閥(安倍派)は解散しているので、本当に個々人の判断で動いています」と語った。決選投票に進んだ2人の票は僅差(きんさ)だったが、「一致結束して、自民党として再び信頼を取り戻していくことが一番大事。そのためには大変いい総裁選だったんじゃないか」と評価した。

 杉田水脈衆院議員の事務所は、杉田氏が2回とも高市氏に投票したことを明らかにした。

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 下関市貴船町4丁目にある林氏の地元事務所には、午後1時ごろから後援会の幹部らが集まり、テレビで総裁選の行方を見守った。林氏の表情が映し出されるたびに、事務所では拍手が起きた。

 林氏は4位で、決選投票に残れなかったが、支持者からは「よし、小林鷹之氏より上だ」「いや、4位で喜んでいてはいけない」といった声が上がった。

 総裁選後に取材に応じた岡本博之・下関後援会長(81)は「もう少し(順位が)低いかと思っていたが、今後に期待できる結果だ。全国の皆さんも林さんがどういう人間なのかある程度理解したと思う。ますます頑張って日本のかじ取りをしてほしい」と評価した。

 全国の党員・党友票では伸び悩んだが、「(林氏は)非常に穏やかに物を言う。もう少し思いをむき出しにして一般の人にPRする必要がある」。次の総裁選に向けては「我々が応援するのは一緒だが、本人の判断に任せるしかない。また本人から報告があると思うので、どうするかを聞いてからだ」と述べるにとどめた。

 県議会棟の自民党会派の控室では、本会議を終えた議員らがテレビで決選投票の様子を見守った。午後3時20分すぎ、1回目の投票でトップだった高市氏を抑えて石破氏が新総裁に選ばれると、「あらー」という声が上がった。友田有・県連幹事長は「ちょっとびっくりしている。国会議員票でこれだけ差がついたのはどういう中身だったのか」と首をかしげた。

 県内の党員・党友投票で林氏が過半数を獲得したことについては、「たいへん高い票をいただいたと思っているし、これからの活躍を期待したい」と語った。

 県議が結成した「林芳正先生を総理にする議員の会」の守田宗治会長は、4位という結果について「林先生の政治力が全国の党員に浸透しているのではないか。今後につながるという期待を大きく持った」と話した。県内での得票率が6割に迫ったことについて、「会としては活動が一定浸透したと思う」と述べた。

 今後については、「林先生は外交面も内政面も非常に安定感のある政治家。今後、どういう局面にあってもどういう立場にあってもご活躍して頂ける方だ」と期待を示した。

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 小田村克彦・立憲民主党県連代表 政治とカネの問題を原因究明、解決してもらいたい。石破さんが言われてきたことが本人の意思でガバナンスが効くなら、目指すものを国民に説明し、信を問うだろう。看板が変わっただけで政治とカネの問題を帳消しにする総選挙はあってはならない。

 伊藤博文・日本維新の会県3区支部長 首班指名があり、所信表明演説で政策パッケージが打ち出されるので、まずはその内容を見定め、日本維新の会の方針や対案など政策論とあわせ、政治姿勢とともに有権者の理解を求め、いつ選挙になっても正々堂々と戦い、支持を広げたい。

 曽田聡・公明党県本部幹事長 (石破氏は)政治経験も豊富で、ブレのない考え方が見て取れた。鳥取県出身の総裁として、地方を元気にしてもらいたい。より強固な自公連立を続けるため、自公連立の信を問い、民意を問う総選挙は年内のなるべく早い時期に行うことを期待している。

 吉田貞好・共産党県委員長 石破氏は持論として憲法9条2項を削除し、自衛隊を国防軍にせよと主張する党内きっての改憲タカ派。総裁選では自衛隊明記論で9人が足並みをそろえたが、戦争のための国づくりをさらに進める危険な人物。共産党は次の総選挙で正面から対決していく。

 大内一也・国民民主党県連代表 まずはしっかり政権運営、特に能登半島の震災復興、今回の豪雨災害の対応に当たっていただきたい。国民民主党もその点はしっかり協力し、他の政策については是々非々で議論を進める。解散・総選挙となればわが党の政策を訴え、正々堂々と戦っていく。

 佐々木明美・社民党県連合代表 新総裁が誕生したようだが、期待は何もなし。私たちは憲法を活かした平和・外交・人権尊重政治、大企業優遇税制を改正し最低賃金1500円、税金は日々の暮らし対策最優先などを追求する。市民と立憲野党の連携共闘を協調性をもって取り組む…

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