自民総裁選、青森県内の党員票も石破氏が1位に 野党は警戒

野田佑介 鵜沼照都 渡部耕平 江湖良二
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 27日に行われた自民党総裁選で、石破茂元幹事長が新総裁に選ばれた。県内の党員・党友票でも石破氏が1位。党内には地方を重視してきた新総裁への期待感がある。総裁選では裏金問題の議論が深まらなかった。野党側は衆院選に向け対決姿勢を強めている。

 県内の党員・党友票は石破氏が2290票(29・5%=有効投票数比)を集め1位。小泉進次郎元環境相が1811票(23・3%)で2位、高市早苗経済安全保障相は1721票(22・1%)で3位だった。4位に小林鷹之前経済安保相で726票(9・3%)、5位に林芳正官房長官で688票(8・8%)などと続き、前回は県内で2943票を得た河野太郎デジタル相は86票(1・1%)の7位に沈んだ。選挙人数は1万2115票で投票総数は7798票。投票率は64・37%で、有効投票数は7775票だった。

 県連会長の津島淳衆院議員(比例東北)は1回目に小林氏、決選投票では石破氏に投じた。27日、オンライン取材に応じ「ギリギリまで迷った」と明かした。決め手は決選投票前の演説だったという。「日本を守る、地方を守る、困っている人を守るという趣旨に共鳴した」と説明した。

 衆院解散の時期については「能登など各地で起きている災害への対応は重要な論点だ」としつつ、「解散は総理の専権事項」とするにとどめた。

 青森2区の神田潤一衆院議員は1回目に小泉氏、決選投票では石破氏に入れた。神田氏は取材に、「岸田内閣が行ってきた政策の継承を重視した」と説明。石破氏には「経済・外交政策の継続と政治不信の払拭(ふっしょく)を期待する」とし、衆院選の時期について「遅くとも11月10日までに」と語った。

 青森3区の木村次郎衆院議員は1回目に小泉氏へ投票。決選投票での投票先については「自分の思いと地元の皆様が肌で感じている思いを受け止め投じた」とし、明かさなかった。

 石破氏について「経験と安定感が反映された。地方を大事にし、地方をくまなく歩いてきたことが評価されたのではないか」と述べた。

 青森1区の江渡聡徳衆院議員は、自民党本部によると、不在者投票を行ったという。江渡氏の秘書は「日程の都合で取材には対応できない」と答えた。

     ◇

 石川県能登半島を襲った豪雨災害について、立憲民主党は衆院解散前に補正予算を編成するよう求め、他の野党からも同調する意見が出ている。10月1日召集の臨時国会で、衆院解散と補正予算は与野党で攻防のポイントになりそうだ。

 同党の田名部匡代県連代表は27日、青森県八戸市で記者団に「今やるべきは能登半島における豪雨災害の対応。補正予算を組んで復旧復興に当たるのが、やらなければならない仕事だ」と述べ、早期解散を牽制(けんせい)した。

 立憲は「中道保守」を掲げる野田佳彦氏が代表に就いた。決選投票に進んだ高市氏に比べ、石破氏と「キャラ」がかぶり、衆院選で戦いにくいとの指摘がある。田名部氏は「ともに政策を前に進められること、対峙(たいじ)すること、国会が始まれば明確になっていくんじゃないか」と述べた。

 日本維新の会の衆院3区支部長、長坂淳也氏は「高市さんだと右に寄りすぎ。石破さんだと大多数の自民党支持層に受け入れられる。怖い」と警戒。「保守二大政党を樹立する。裏金・統一教会の自民党と徹底的に対峙したい」と強調した。

 共産党の畑中孝之県委員長は「総裁選で自民党政治の深刻な行き詰まりが一層明らかになった。誰が総裁になっても中身が変わらない。自民党政治と正面から対決する共産党の躍進が必要と決意した」と主張。石破氏について、「『戦争する国づくり』をいっそう進める役割を果たすだろう」と批判した。

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この記事を書いた人
野田佑介
青森総局|県政担当
専門・関心分野
災害復興、防災、人口減少、命