音響の悪いホールで… 奈良知事と県議、橿原文化会館の閉館巡り応酬
老朽化を理由に閉館の方針が示されている奈良県橿原文化会館(橿原市)。吹奏楽コンクールの会場にもなっている同館がなくなることで、クラシック演奏の場が失われることにはならないか。閉館に反対する県議からの懸念に対して、山下真知事は代替施設の一つに「なら100年会館」(奈良市)をあげ、議場で激しい応酬を繰り広げた。
24日の県議会であった、若林かずみ県議(自民党・無所属の会)の一般質問。同館の存続を求める若林県議が、同規模の収容人数を県内でカバーできるのは100年会館だけだが、音響設備の観点から「クラシックには不向きとされる」と訴えた。これに対し、山下知事は「考えようによっては音響に課題があるからこそ演奏技術の差が出て、コンクールなど優劣を決める場合に分かりやすい」と答弁した。
中学・高校で吹奏楽部に所属していた若林県議は、「プロの演奏家は音響が悪いところでも聴くに堪えられるが、学生は無理」とし、「1年間必死になって練習してきたのに、どれだけの音量でどれだけの音質で演奏したらいいのか全く分からなくなって、実力が発揮できない。かわいそうじゃないか」と発言の撤回を求めた。
しかし、山下知事は「練習もそこですればいい。音響効果がないところで真の実力を競うという見方もある」と引かず、改修後の県文化会館(奈良市)なども代替施設になると主張した。
答弁を聞いた吹奏楽関係者の一人は「晴れ舞台であるコンクールをわざと音響の悪いホールで行うのはありえない。見識を疑う発言だ」と不快感を示した。
県は今年1月、橿原市でのアリーナ新設構想に伴い、同館の閉館方針を発表した。県文化振興課によると、昨年度の同館大ホールの稼働率は51・6%(1日を午前・午後・夜間の3コマに分けて算出)。
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら