リニアや原発、知事の「待った」は越権か 行政学者が説く健全な政治
都道府県知事の言動に耳目が集まることが多くなっています。時には国家的なプロジェクトに待ったを掛けることもある知事の力とは。これからの課題を含めて、行政学者で国際基督教大学名誉教授の西尾隆さんに聞きました。
国家的プロジェクトに対して知事が異論を唱え、ストップをかけるということは、国と地方が対等な関係である以上、自然なことです。ある意味で、健全な政治行政のあり方ではないでしょうか。
民主主義である限り、全体と部分の調整は日常の課題です。新幹線やリニアだけでなく、高速道路の建設などにも言えることです。原発やその関連施設、さらに沖縄・辺野古などの基地建設問題もそうでしょう。あらゆるプロジェクトにおいて、便益を享受する「受益」者と負担を強いられる「受苦」者が一致することはまずありません。
知事が発言することによって、その課題が全国的な注目を集めます。「政策は、争点化されなければ『無』だ」と述べた政治学者もいますが、政策は広く市民や政治家に議論をされることによって初めて社会的な実体となります。知事は特定の問題に熱量をもたらすことができる数少ない公選職です。
これは権力をどうコントロールするかという立憲主義とも関連します。中でも重要なのは国の行政権をどう抑制するかで、三権分立がとりいれられ、立法や司法が行政をコントロールします。同じように、地方からの空間的なコントロールも重要です。
強大な力を持つ知事 コントロールするには
ただ、国際的な比較をすると…
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