「月の売り上げ5千円」無人駅守るのは地元社長 存廃に揺れる芸備線

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矢代正晶

 山あいにあるJR芸備線の小奴可(おぬか)駅(広島県庄原市)に止まるのは、上下とも1日3本。5月下旬の平日午後2時すぎ、新見駅(岡山県新見市)方面から着いた列車には3人の乗客がいたが、降りる人はいなかった。

 乗るのは記者ひとり。2駅先の備後落合駅までの切符を買おうと、地元の「道後タクシー」社長の林嘉啓さん(62)に声をかけた。

 林さんの会社の事務所は、駅の窓口の奥にある。仕事の手を止めて窓口に出てくると、手際よく端末を操作して往復の切符を発券。ホームで発車を見届けると、再び社長の仕事に戻っていった。

シリーズ 線路は続くか

赤字ローカル線の問題を、現場取材やインタビューを重ねて深めていきます。

 小奴可駅が無人駅になったのは1983(昭和58)年。この年から、切符の販売業務を受託している。

売上表に目立つ空欄 かつての売り上げは…

 ただ、実際に切符を売る機会は多くはない。切符を買い求める人が、ひとりもいない日のほうが多いからだ。「買っていくのは、ほぼ鉄道ファン。地元の人は車なので……」

 当初、帰省シーズンなどは月…

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