個人消費弱い中、踏み切った利上げ 歴史的な円安や自民総裁選背景に

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西村圭史 鬼原民幸 神山純一 笠井哲也
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 日本銀行が追加利上げに動いた。個人消費に弱さも見られる中、金利上昇につながる国債買い入れの減額と同時の実施となった。植田和男総裁は経済への影響は少ないと強調した。

 植田氏は31日の記者会見で、市場の大方の予測に反して利上げに踏み切った理由について、物価見通しが「想定に沿って推移している」と強調した。個人消費がまだ弱く、国債買い入れの減額との同時実施は難しいと市場はみていたが、日銀は賃上げと2%の物価上昇がともに進む「好循環」に近づいていると判断した。

 実際、日銀が重視する経済指標は改善の流れがある。基本給を示す所定内給与の5月分は、前年同月比2.8%上昇し、3、4月よりも伸び率が広がった。企業間で取引する物価も上がり、今後、消費者物価指数に波及するとみられる。日銀が31日に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)の物価上昇率の見通しも、2026年度まで目標とする2%近辺で推移するとした。

 植田氏は「物価が見込み通りに進んでいることが判断できれば、次の判断をしていく」とさらなる利上げにも言及。0.5%を超える政策金利は長年実現していないが、「壁ではない」と踏み込んだ。

 だが、日本経済が強いとまで…

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    加谷珪一
    (経済評論家)
    2024年8月1日9時35分 投稿
    【解説】

    もともと日銀は秋の金融政策決定会合で利上げする見通しを示していましたし、政府もこのスケジュールを受け入れていました。というよりも、金利を上げ、正常化を実施したい日銀に対して「アベノミクスを止めるのか」といってストップをかけていたのは、むしろ

    …続きを読む