「2人目のオオタニ」求め失敗 特許の崖を転がり落ちた住友ファーマ

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清井聡
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 製薬中堅の住友ファーマは2024年3月期に3千億円超という巨額の純損失を出した。原因は収益の柱だった抗精神病薬「ラツーダ」の特許切れ。25日に就任した木村徹社長(63)は、「もう一人のオオタニ」を求めたことに原因があると説明する。

 ――薬の特許切れはパテントクリフ(特許の崖)と呼ばれます。まさに崖を転がり落ちました。

 「11年に米国で最初に発売し、ピーク時で2千億円超の売り上げがあったラツーダの特許が23年2月に切れました。化学物質としての特許が19年に切れた後も、ほかの特許で守ってきた独占期間が終わり、後発薬メーカーが15社も参入してきました。激しい販売攻勢にさらされ、24年3月期の売上高は67億円と前年比97%の減少。1~2割は残ると思ったんですが、完璧になくなりました。売上高5千億円しかない会社でですよ」

 ――怖い世界ですね。

 「薬の原価率は1割を切る水準で、売れればかなりもうかる。ギャンブルというのはおかしいですが、経営は金脈を探す鉱山会社と似ていると言われます」

 ――特許切れは製薬会社に共通する話とはいえ、住友ファーマが一番苦しい状況に見えます。

 「『崖』を見据えて投資した、がんやパーキンソン病呼吸器の薬などがいずれもうまくいきませんでした。海外ベンチャーから導入した今の主力製品も期待したほどには売り上げが伸びていない。薬の価値の減損を強いられたことも、損失が膨らむ要因になりました」

 ――後継薬の開発は、なぜうまくいかなかったのですか。

 「ラツーダの『崖』を乗り越…

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この記事を書いた人
清井聡
経済部
専門・関心分野
企業経営、ガバナンス、産業政策