子供に自由な遊び場を 「プレーパークを山口に」実行委、常設要望

山野拓郎
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 「ボール遊び禁止」「バット・ラケット使用禁止」。街中にある公園の多くは、様々な「してはいけないこと」を書いた看板がある。「プレーパークを山口に」実行委員会は、子どもたちが自由に遊べる場所を山口市に造ることをめざして活動している。

 臼井裕貴子実行委員長は「子どもたちが外で遊ぶ姿がめっきり減っている。子ども時代の遊びは体の成長だけでなく、心の成長にも大切な時間だったはず」とその必要性を語る。

 プレーパークはヨーロッパで始まった「冒険遊び場」に端を発する。原則は「自分の責任で自由に遊ぶ」こと。土や水や火に触れたり、道具を使ってものづくりをしたりと、それぞれ自分のやりたい遊びを見つけてチャレンジする。

 「プレーリーダー」として大人が常駐しているが、遊びを先導することはせず、少し離れて安全を見守ったり、時には一緒に遊んだりして、子どもたちが楽しむ環境をつくっている。

 日本では1970年代に東京・世田谷に第1号が誕生した。現在は全国に400カ所以上あり、県内でも萩市などにある。臼井さんたちは2019年から月1回のペースで山口市内の公園や神社で「いちにちプレーパーク」を実施してきた。これまでに約40回開催し、延べ3419人が訪れたという。

 いちにちプレーパークは、禁止事項はないが、整備された遊具もない。段ボールやロープ、廃材などを置いておくと、子どもたちが自由な発想で遊び始めるという。段ボールで迷路を造ったり、落ち葉を集めて布団のようにして寝てみたり。紙の上に素足で乗って、絵の具を手や足で塗り始める子もいる。

 臼井さんは「子どもたちは遊びの中で失敗や成功を重ねながら自主性や自己肯定感を身につける。異なる年齢の子どもと接することでコミュニケーション能力も高まる」と説明する。普段は閑散としている公園が活気づき、コミュニティーづくりにも有益だと感じたという。

 山口市にプレーリーダーの常駐するプレーパークの設置を求める署名活動に取り組み、2021年5月、7千筆を超える署名と要望書を市に提出した。

 臼井さんは「スマホやゲーム機を否定はしないが、屋外で思いっきり自由に遊ぶことで得られるものがきっとあるはずだ」と力を込めた。

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 住みよい地域社会や男女がともに参画する社会をつくるため、女性が中心となって活動に取り組む団体に贈られる「第18回女性いきいき大賞」(コープやまぐち主催、朝日新聞社など後援)で、「プレーパークを山口に」実行委員会はコープやまぐち奨励賞を受賞した。

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