自転車の事故防止へ、「反則金」実施前に取り組み強化 佐賀県警

渕沢貴子
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 道路交通法が5月に改正され、2年以内に自転車の交通違反が反則金制度(青切符)の対象になる。悪質な違反や事故が目立つ中、その防止につなげるのが狙いで、佐賀県警は自転車の交通ルール順守を促す取り組みを強めている。

 自転車の利用促進や安全利用の啓発活動を全国で行う「自転車月間」最終日の5月31日、県内10署管内で一斉に、重点的な自転車取り締まりが行われた。

 佐賀市神野東1丁目交差点では、午後4時ごろから警察官が歩道に立った。下校時間に重なり、制服姿の自転車利用者が行き交う中、違反の疑いがあれば自転車を止め、必要に応じて、違反への注意を促す自転車用の「指導警告票」を渡していた。

 県警によると、この一斉取り締まりで警告票を渡した違反が107件あり、うち最多の52件が横並びで走行する「並進」。一時不停止18件、踏切不停止10件と続いた。

 県警のまとめでは、県内の交通事故は減少傾向で、2023年までの5年で事故件数は5040件から3144件に減った。一方、このうち自転車事故は400件前後で増減し、23年は全体に占める割合が12・90%と、ここ5年で最も高くなった。23年は自転車の信号無視や一時不停止、無灯火などの違反の疑いで40件を検挙したという。

 また、過去5年間の自転車事故計2152件を月別に集計すると、10月が219件と最多で、9月の164件から急増。県警の笠原哲・交通部長は先月24日の定例会見で、「日没時間が早まり、暗くなるのと、帰宅や買い物などで交通量が増える時間帯が重なるためと考えられる」と話した。

 過去5年の自転車事故のうち、過失割合が大きいなどで「第1当事者」に自転車側がなったのは287件。その53%を高校生以下が占めた。このため、県警は「新学期から1カ月がたち、気が緩みがちになる」として、5月に広報啓発を実施。自転車マナーアップのモデル校の指定、通学時間帯の一斉街頭指導を実施。ほかにも、シミュレーターを使った体験型の交通安全教育、自転車ヘルメットの着用促進活動などを行っている。

 今後もこうした取り組みを続け、自転車への反則金制度が設けられることを見据え、法改正の内容の周知にも努めるという。

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