都庁に連日の大行列、その先には… 16億円かけたあのイベントにも
東京都庁(新宿区)の入り口で連日のように、外国人観光客を中心とした長蛇の列ができている。お目当ては、高さ202メートルの展望室だ。16億円超を投じて波紋が広がったプロジェクションマッピングを含め、都庁の「観光地化」が進んでいる。
4月上旬の平日の午前。都庁1階のエレベーター前に、人だかりができていた。ほとんどが欧米から訪れた外国人観光客だ。行列は庁舎の外にまで伸び、最後方には「45分待ち」の案内板。これを見て、驚いた表情で立ち去る人もいた。
行列の先のエレベーターは、庁舎45階の展望室へ向かう。天気が良ければ東京を一望でき、富士山もくっきりと見える。無料でもあり、外国人観光客向けのツアーにも組み込まれている。
米国から訪れたという女性は「すばらしい景色。ガイドブックにも載っているが、行列の長さには驚きました」と苦笑い。八王子市の女性(85)は「コロナ禍の前に来たときは、こんなに外国人観光客はいなかった」と驚いていた。
都によると、南北に二つある展望室は合わせて年間200万人ほどが訪れる。とくに桜の季節の3~4月は人気で、以前から長い行列ができていたが、二つの展望室のうちの一つがリニューアル工事で2月から閉鎖。行列の伸び方に拍車がかかった。閉鎖していた展望室は23日に再開することが決まり、行列は少しは緩和されそうだ。
波紋広げたあの事業にも
さらに都庁前の広場の芝生にも、夕方になると多くの外国人が集まる。庁舎に映し出されるプロジェクションマッピングを見るためだ。都によると、スタートした昨年2月から今年3月までにのべ約56万人が訪れたという。
都は昨年、都庁を中心とした西新宿エリアのにぎわい創出をめざし、「空間再編計画」を策定。都庁前の芝生も、その一環として昨秋に整備した。2030年をめどに施設の整備などを進め、観光客だけではなく都民の憩いの場にしたい考えだ。
ただし、プロジェクションマッピングは16億5千万円という費用から「税金の無駄遣い」との批判も根強く、それに見合う経済面、観光面での効果が出るかどうかが問われている。
- 【視点】
都庁の無料展望室とプロジェクションマッピングが訪日観光客に大人気とは。インバウンドの観光客には何が刺さるかわかりません。先日、都内の都営地下鉄の駅で次々とスタンプラリーのスタンプを押す若い欧米人を見かけました。富裕層向けにインバウン丼や高い
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