失われる前に映像で記録 無形の民俗文化財を後世に伝える

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編集委員・宮代栄一

現場へ! 伝統芸能をつなぐ④

 様々な理由で消滅していく祭りや伝統芸能を、後世にどう伝えればいいのか。答えの一つとされているのが「映像で残す」というものだ。

 文化庁は、国の重要無形民俗文化財に指定されてはいないものの、変容・衰退の恐れが高いと思われる文化財を「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選定。撮影や報告書作成を行って「記録保存」を図ってきた。祭りをはじめとする風俗慣習や伝統芸能など約650件が対象となっている。

 今年1月には千葉県木更津市で、正月7日未明に若者が海に入り、梵天(ぼんてん)と呼ばれる竹を立てる「木更津中島の梵天立て」の撮影が行われた。

 こうした「記録保存」の先駆といえるのが、民族文化映像研究所(東京都)だ。「旅する巨人」と言われた民俗学者・宮本常一(1907~81)に師事した姫田忠義(1928~2013)らが「日本の基層文化を記録する」ことを目的に1976年に創立。創設前の1961年から2005年までに撮影された映像記録は119本に及ぶ。小原信之代表理事(64)は「姫田の没後、新たな作品は作っていない。ネット配信はせず、全国の上映会に貸し出して鑑賞してもらう活動を続けている」と話す。

 4月27日には東京都中野区

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この記事を書いた人
宮代栄一
編集委員|歴史・考古学担当
専門・関心分野
歴史、考古学、文化財