「不適切」学長が断じた付属小の教育 背景に文科省と県教委の連携
奈良教育大付属小学校で授業の一部が「学習指導要領に沿っておらず、不適切」。奈良教育大が今年1月、そんな調査報告書を公表した。文部科学省は全国の国立大に、付属小のカリキュラムを点検するよう通知。同小を支持する研究者の声明に賛同が集まるなど、波紋が広がっている。
「不適切だった」。同大の宮下俊也学長は1月、同小の教育内容の調査報告書を公表した記者会見で、そう繰り返した。「(学習指導要領を規定する)学校教育法に反し、法令違反にあたる」「ガバナンス(組織統治)が機能不全で、コンプライアンスが欠如していた」
報告書が不適切とした授業内容は、毛筆による書写を長年実施していない▽教科書を主たる教材としていなかった▽3年生の理科の単元を4年生で教えていた▽道徳を教科として教えず、全校集会を道徳的指導に代えていた▽方言や動物の鳴き声などを扱う独自授業「言語文化」は外国語授業として認められない、など九つの教科・活動の30項目に及んだ。当時の6年生は、指導不足の回復のために、卒業後の夏休み期間に毛筆の補習日程が組まれた。
■県教委から常勤の校長が派遣…
- 【視点】
記事の筆者です。1月に大学が開いた記者会見から取材を続けてきました。 会見で、学長自ら「不適切」という言葉を連発することに違和感を持ちながらも、そのまま報じてしまいました。 https://www.asahi.com/articles/AS
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