親がPTAに入らない生徒は図書館利用に実費? 学校が抱える悩み

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 親がPTAに入らなくなったため、その生徒は自由に校内の図書館を利用するのに、一時、高校から応分の負担を求められた。そんな事態が昨年、埼玉県の県立高校で起きていた。なぜ、こんなことになったのか。

充実した図書館が維持できるのは…

 埼玉県立のある高校図書館。生徒が読書や自習する机を囲むように置かれた本棚には、小説や語学、自然科学の蔵書約10万冊が並ぶ。

 同校は「一般の高校と比べて、4、5倍の蔵書で、充実している」と話す。図書館充実は学校の特色の一つだという。

 蔵書は、公費で買いそろえたもののほか、PTA負担金の図書館充実費(2022年度は390万円)が充てられた本もある。蔵書の充実には、PTAの力が欠かせない。

 この高校のPTA会員になると、通常の会費に加え、図書館充実費や、大学受験用の外部模試代などに充てられる進路対策費など年間計約6万円を支払う。

 23年度に入学した生徒の保護者は23年5月、「入会した覚えがないのになぜ会費を支払わないといけないのか」と学校などに尋ねた。PTA総会後に送られてきた資料には十分な回答はなく、PTA会長や校長との話し合いの場を設けたという。

 話し合いの末に入会の継続を断ったところ、保護者によると、校長から、保護者の息子が図書館を使う場合、「実費をいただくようにする」と言われたという。さらに、模試代についても「別にいただく形にします」と求めた。

 校長は朝日新聞の取材に、「受益者負担の原則から『実費の負担というのを念頭に置かなければいけない』とは言ったが、『いただきますよ』とは言っていない」と話した。

この事態は、埼玉県議会でも取りあげられました。背景を取材しました。

 この件は昨年12月12日…

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