暴力荒れ狂うハイチ 世界で初めて奴隷解放した国が背負わされたもの

有料記事今さら聞けない世界

聞き手・星井麻紀
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 カリブ海の島国ハイチで治安が急速に悪化し、米メディアなどの報道によると、首都ポルトープランスは略奪や殺人などで「無法地帯」と化しています。かつて中南米で最も豊かで先進性があったとされるハイチには、それがゆえに苦難も降りかかったといいます。アジア経済研究所の新領域研究センター主任研究員で、カリブ地域情勢に詳しい山岡加奈子さんに聞きました。

 ――混乱のきっかけは何なのでしょう。

 まず、ハイチは政府が非常に弱い国です。その最大の原因はハイチの政治文化にあります。政党と言えるものはほとんどなく、政治家はほぼ全員が一匹おおかみ。足を引っ張り合い、政敵を攻撃し、勝つためなら選挙日程まで変更し、立候補の届け出書類に難癖をつけて選挙に出られなくするような妨害もあります。

ギャングは数少ない「就職先」

 警察も、あまり大きな組織で…

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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2024年4月5日23時9分 投稿
    【解説】

    あまり知られていないハイチの歴史と現状についてのわかりやすい解説。このシリーズは「今さら聞けない世界」というものだが、今、むしろ聞くべき事柄だろう。ハイチは早期に植民地から独立したモデルでありながら、その後のガバナンスの問題や国際経済におけ

    …続きを読む