推しがスキャンダルを…葛藤するファン 私たちは被害者?加害者?
「推し」が犯罪者になった。そんなショッキングな経験を、どう受け止めたらよいのか。苦悩しながら、ひとりのファンが映画を撮った。
韓国で2021年に発表された映画「成功したオタク」が、3月末から日本で上映される。あるK-POPスターが性加害で逮捕された後、熱狂的なファンだった女性が、同じように葛藤する仲間たちを訪ね歩くドキュメンタリーだ。「推し活」で傷ついたとき、人生を捧げてきたファンはどう向き合えばよいのか。今作で長編映画デビューしたオ・セヨン監督は「推しと自分を同一視しないことが大切」と話す。
出発点は「ファンとはなんだろう」
――もともと監督はスター本人に認知されるほどのファンで、映画タイトルでもある「ソンドク(成功したオタク)」と呼ばれていました。彼はどんな存在でしたか
中学生のときから好きでした。彼が頑張って生きているんだから私も頑張ろうと思わせてくれる、見習いたい人だったんです。罪を犯したときは、彼がそんな人だと知らなかった自分を愚かな人間のように感じました。
――傷ついたところから、なぜ映画を撮るに至ったのでしょうか
最初は映画を撮ろうとは思っ…
- 【視点】
すでに試写でこの作品を観ましたが、そのなかでオ・セヨン監督は印象的な言葉を発します。 「(サイン会で)“ソウルの大学に入れよ”って(書いてくれたけど)」 「入ったけど、私が行くのはライブじゃなくて裁判所」 そう言って彼女は自虐的に笑うものの
…続きを読む