別居親の同意が必要なケース明示を トラブル増の可能性 識者に聞く

有料記事離婚と子ども

聞き手=編集委員・大久保真紀

 離婚後の共同親権を導入する民法改正案は、父母で合意しなくても、家裁が共同親権か単独親権かを定める、としています。当事者と面接などを行い、裁判官に意見を出す元家裁調査官で、和光大学教授(司法犯罪心理学)の熊上崇さんに、どんな懸念があるのか聞きました。

 小規模の裁判所では、裁判官は、民事事件や刑事事件のほか、家事事件や少年事件もすべて担当しています。家事事件を扱うのは週1回だけ、というケースも少なくありません。

 改正案によれば、これから離婚する父母だけでなく、過去に離婚した父母も、共同親権への変更を申し立てることができます。紛争はさらに増えるのではないでしょうか。父母間で同意できないことがすべて家裁に持ち込まれるということになれば、いまの家裁の人員では対応できないと思います。家裁の人員強化は必須でしょう。

DVや虐待「証拠が残りにくい」 家裁の判断に懸念

 私は約20年、家裁調査官を…

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この記事を書いた人
大久保真紀
編集委員
専門・関心分野
子ども虐待、性暴力、戦争と平和など
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    本田由紀
    (東京大学大学院教育学研究科教授)
    2024年3月23日9時6分 投稿
    【視点】

    すでに多くの批判があるように、今回の民法改正案では家裁の判断で共同親権になってしまう。家裁は多くの事案を抱えており、また当事者がDVの証拠を提出することも場合によっては難しい中で、元夫婦間の関係が破綻しているにもかかわらず家裁が共同親権を認

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    末冨芳
    (日本大学文理学部教授)
    2024年3月23日9時37分 投稿
    【解説】

    【共同親権推進派の研究者も認めた家裁の処理能力の低さと子どもの権利利益尊重についての専門性の薄さ】今週、ある研究会に出席したところ偶然にも共同親権推進派と慎重派の研究者が同席しており、双方のお説を興味深く拝聴しておりました。 私は子どもの

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