離婚後の共同親権を導入する民法改正案は、父母で合意しなくても、家裁が共同親権か単独親権かを定める、としています。当事者と面接などを行い、裁判官に意見を出す元家裁調査官で、和光大学教授(司法犯罪心理学)の熊上崇さんに、どんな懸念があるのか聞きました。
小規模の裁判所では、裁判官は、民事事件や刑事事件のほか、家事事件や少年事件もすべて担当しています。家事事件を扱うのは週1回だけ、というケースも少なくありません。
改正案によれば、これから離婚する父母だけでなく、過去に離婚した父母も、共同親権への変更を申し立てることができます。紛争はさらに増えるのではないでしょうか。父母間で同意できないことがすべて家裁に持ち込まれるということになれば、いまの家裁の人員では対応できないと思います。家裁の人員強化は必須でしょう。
DVや虐待「証拠が残りにくい」 家裁の判断に懸念
私は約20年、家裁調査官を…