クリエーター、開発側の双方から懸念 AIと著作権「考え方」の限界

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平賀拓史 サンフランシスコ=五十嵐大介
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 生成AI(人工知能)と著作権の関係について文化審議会の小委がまとめた「考え方」には、案の段階でパブリックコメント意見公募)に2万5千件の意見が寄せられた。クリエーター、AI開発者の双方から懸念の声が上がり、現行の著作権法の枠内での対応に限界も見える。

 「著作者の意思に反してAI学習をさせる行為が『著作者の利益を不当に害する』ことは明らか」「著作者のAIに学習させたくない意向が尊重される仕組み作りを」――。著作権者が反対の意思を示すことのみでは、AIによる無断学習を免れることはできない、とした「考え方」に対して、クリエーター団体などから批判の声が上がる。

 アニメ業界従事者らでつくる「日本アニメフィルム文化連盟」事務局長で声優の福宮あやのさんも、懸念を抱く一人だ。「著作者が何を言っていても、何を学習させても大丈夫、と拡大解釈されるのでは」。「考え方」では、パスワードなどを用いたアクセス制限でそれぞれが学習を防ぐことはできるとしているが、福宮さんは「特に声などは、当事者がみな『自衛』をできるわけではない」と話す。

開発側「リスク避け二の足踏む」

 一方、AIの開発者や企業からは、「考え方」が開発の妨げになるとする意見が寄せられた。

 AI開発者や関連企業らでつくる「日本ディープラーニング協会」は「大きな萎縮的効果が発生することを強く懸念する」と述べた。理事の柿沼太一弁護士は、複製防止措置を回避してデータベースを学習させることなど、著作権侵害になりうる具体的な事例を記したことを問題視。「まだ詳細な判例が出ていないのに踏み込みすぎると、権利者側が拡大解釈でき、混乱を招いてしまう」と危惧する。小委では開発側の意見を十分反映する機会がなかったとして、「バランスが取れた議論ができていない」と話した。

 電子企業などでつくる「電子…

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