第2回北海道 かつての大動脈最後の賑わい 記者が見た廃止控えた根室線
3月末で廃止になるJR根室線の富良野―新得間(81・7キロ)。かつては札幌と道東地方を結ぶ大動脈だったが、1981年の石勝線開業に伴いメインルートから外れ、ローカル輸送が中心に。さらに、一部区間が台風被害で不通となり、列車代行バスによる運行が長く続いた。旭川と帯広を結ぶ最短の鉄路でもあったが、利用者数の少なさがネックとなり、復旧されぬまま最後の時を迎えようとしている。2月に同区間を記者がたどった。
列車代行バス(新得駅→東鹿越駅)
廃止予定区間のうち新得~東鹿越間41・5キロは、2016年夏の台風被害以来不通になっており、代行バスが一日上下11本(取材時は同9本)運行されている。
新得町の新得駅前。2月19日午後1時57分発の東鹿越行き代行バスの乗り場には、バスが来る前から10人弱の列が出来ていた。ほとんどが鉄道ファンの男性1人客だ。
東京都の会社員江口肇さん(55)は、1984年に釧路発滝川行きの普通列車でこの区間を旅した経験を持ち、その時の様子を動画サイトで公開しているほどの熱心なファン。昨年も東鹿越駅を訪れ、その時知り合った人から「トンネルを抜けて見えるかなやま湖が最高」という話を聞き、廃止になる前にその景色を確かめに来たという。
廃止について「交通インフラという点で、道路も鉄道も一緒。旭川と帯広を結ぶ路線が廃止してもよいとは思えない。インバウンド需要がある中、新千歳から、この廃止予定区間を通って南回りに富良野に行く列車があってもよいと思う」と話した。
埼玉県から幾寅駅の記念の入場券を購入するために訪れたという男性大学生(21)は「災害を受け、多大な復旧費用を、今のJR北に強いるのは厳しい。乗客も少ないのなら、残念だけど廃止はある意味仕方がない」。
接続列車の客を待ったため、バスは定刻より8分ほど遅れて出発。乗客は30人ほどで、固定座席の6~7割が埋まった。
急勾配に臨んだ名残が
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通称「大カーブ」
国道38号に出てまもなく…
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