「ハッピー・マニア」を出したシュークリームの35年と女性の自由

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真田香菜子

 「ハッピー・マニア」など旧来の価値観にとらわれない自由な作品を送り出してきた、マンガ編集・出版を手がける「シュークリーム」が今年6月に設立35年を迎える。テーマに掲げるのは「Manga beyond gender」(ジェンダーを超えるマンガ)だ。その歩みと作品の変遷をたどった。

 設立はバブル絶頂期の1989年6月。男女雇用機会均等法の施行から3年がたち、女性の社会進出も進みつつあった。

 80年代半ば以降に、次々と創刊されたのが、大人の女性をターゲットにしたレディースコミック雑誌。そんな時期に、フリー編集者として出版社からレディコミ誌の編集・制作を請け負っていた、現社長の萬(よろず)眞理子さん(66)らが「シュークリーム」を立ち上げた。

 女性が性について語りにくい時代に、レディコミ誌の作品の多くは、少女マンガではタブーだったセックスを含めた性表現を前面に打ち出し、瞬く間に人気に。読者の読み方も違った。

 「少女マンガは雑誌だけでなく、単行本になっても繰り返し大切に読まれていた。でもレディコミの読者は、雑誌をコンビニで何冊も買って読み散らしていた。作品を、自分とは別世界のラブロマンスとして消費していたような印象だった」

作家が世界を自由に描いたら

 一方、設立の89年から編集…

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    富永京子
    (立命館大学准教授=社会運動論)
    2024年3月8日11時39分 投稿
    【視点】

    1980年代以降、日本の社会学では井上輝子先生、坂本佳鶴恵先生といった研究者が中心に女性ファッション誌と女性の社会的立場の変遷を論じてきましたが、それほどまでに雑誌という媒体は女性の社会的立場や意識を反映し、形成してもいますよね。そして、漫

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Think Gender

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男女格差が主要先進国で最下位の日本。この社会で生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。性別に関係なく平等に機会があり、だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダー〈社会的・文化的に作られた性差〉について、一緒に考えませんか。[もっと見る]