女性も「うるせえな」と怒ったっていい 性別の美学が広げた男女格差

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聞き手・真田香菜子
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 女性のみなさん。女らしく話すと気持ちがうまく伝わらないと感じませんか。多くの女性が当たり前のように使う「女性のことば」がはらむ問題について、昨年「女ことばってなんなのかしら? 『性別の美学』の日本語」(河出新書)を出した翻訳者・平野卿子さんに聞きました。

――著書で書かれた「女ことば」とは、どんなことばを指すのですか。

 ①語尾に「のよ」「わ」「かしら」などを使う②「うるせえ」「知らねえ」などなまった母音を使わない③「尻」「畜生」といった卑語や罵倒語を使わない④「お花」「お砂糖」など接頭辞「お」を付ける⑤感動詞は「あら」「まあ」などを使う⑥敬語をよく使うといった言葉遣いのことです。このようないわゆる「女ことば」とは別に、相手の意をくみ、謙遜し、へりくだる話し方を「女らしい言い回し」として論じました。

――女性の言葉遣いに興味を持ったのはなぜですか。

 私はドイツ語の翻訳者です。30年ほど前、ドイツの小説にあった男性のセリフを「とっとと失せろ、この野郎! 貴様は疫病神だ」と訳した時、胸がスカッとして今までにない快感が走りました。「男のことば」には、気持ちを解放させる効用があると気付いたのです。同時に、自分がそれまで「女ことば」を使っていたことに気が付き、なぜ日本には「女ことば」があるのだろうと不思議に思いました。

 ドイツの日本文学研究者のイルメラ・日地谷=キルシュネライトは「性別の美学」という論考で、「日本では性差というカテゴリーは非常に重要な要素だ」と指摘しました。

 「当たり前のように男性と女…

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    仲岡しゅん
    (弁護士)
    2024年3月5日23時55分 投稿
    【提案】

    私は平野卿子さんとはまた違った意見を持っています。 私は男性として生活していた頃から、「やめろ!」「出てけ!」といった言葉使いがもともと苦手でした。 どちらかというと、当時は自分の本心を隠して「男らしく」振舞うために粗野な言葉を

    …続きを読む
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    金澤ひかり
    (withnews編集部=若者、ネット)
    2024年3月5日10時54分 投稿
    【視点】

    先日、子どもの通う小学校で、PTAの資料が配られました。 保護者の声を紹介するページに登場するイラスト、9割が女性でした。 しかも語尾は「~だわ」「~のよ」。違和感と、憤りと、悲しさと。 それなのに、役員の会長職だけ男性のイラスト。

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男女格差が主要先進国で最下位の日本。この社会で生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。性別に関係なく平等に機会があり、だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダー〈社会的・文化的に作られた性差〉について、一緒に考えませんか。[もっと見る]