県立高入試に1万6988人、地元ゼミナールの分析は

富永鈴香
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 茨城県高校入試学力検査が28日、91校1分校であった。1万6988人が試験に挑んだ。合格発表は3月12日にある。

 県教委高校教育課によると、倍率は全日制が0・97倍(前年度と同じ)、定時制が0・51倍(前年度比0・02ポイント増)で、全体では0・94倍(同0・01ポイント減)だった。志願先変更の締め切り後から学力検査前日までに193人が志願を取り下げた。

 県教委は22年度は一時的に選択問題を増やしたが、23年度から記述問題を復活させている。

 当日欠席は73人だった。うち16人が新型コロナウイルス、17人がインフルエンザに感染したことが理由で、3月7、8日の追検査を受けることができる。

 藤代紫水高校の英語の検査で、機械の不具合が原因で検査終了5分前を予告する放送が流れないトラブルがあった。各部屋の時計やチャイムは正常だったため、以降は口頭で告知し受験者への影響はなかったという。

 2月29日に特色選抜の面接などがある。3月13、14日に2次募集の出願を受け付け、2次の検査は15日、合格発表は19日に行われる。(富永鈴香)

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 水戸市で30年以上、高校受験の指導をする学習塾「典和進学ゼミナール」に、出題の傾向やねらいを分析してもらった。

 相川貴史塾長 英国数の3教科は、例年と比べすっきりとした無理のない問題構成が目についた。受験生には取り組みやすかったと思われる。英語では単語記述がなくなる、数学では選択問題が11題も出題されるなどの変化はあったが、全体として解決しやすい問題が多く、数学を中心に平均点は少し上がるのではないか。

 社会・理科は、昨年度と同じ問題構成だった。理科は昨年度程度の平均点に、社会は選択肢の多い問題や記述問題の影響から平均点はやや下がる可能性がある。

 5教科としては昨年度程度の平均点になるとみている。

英語

 大問構成に大きな変化はない。大問1のリスニングでは、不要語を含む選択問題が加わった。特筆すべきは大問2である。問題形式を大きく変え、英単語を書く問題から、選択形式になった。大問4では、話題が情報機器の利便性に触れ、本文・設問共に新課程の現在完了進行形が組みこまれた。大問5の最終問題は本文の抜き出しで対応できるが、多少解答に幅を持たせている。全体の読解力の程度も昨年度と変わらず、難易度はほぼ同程度に思われる。

国語

 大問は例年通り4題。出題の順序が変わった。大問1は久しぶりに手紙文の問題、および漢字・慣用句などの知識問題。大問2は高校生が主人公の小説と読後の感想交流の読解。大問3は建築が主題の論説文とその内容をまとめたノートの読解。大問4は古文(平家物語)と、同じテーマを扱った漢文が出題された。

 書き抜きが4題、手紙文の前文の一部を記述させる問題が出題された。これらの文字数は昨年度より増えた。全体的に平易で受験生は取り組みやすかっただろう。

数学

 大問6題の構成は昨年度と同じだった。大問1の計算問題や大問2の小問集は例年通り基本的な出題だったが、選択問題が大幅に増えた。大問3の平面図形や大問5の1次関数は例年難しかったが、今年は受験生にとって解きやすかったかと思われる。

 一方、大問4の確率、特に(2)②は多くの受験生が間違えただろうし、大問6の最終問題は例年通りの難しさだった。全体としては選択問題が増えたこともあり、昨年度よりは易しかったと思われる。

社会

 大問構成は昨年度と変わらず、地理・歴史・公民・3分野総合の順だった。文章記述は昨年度と同じ1問だったが、文字数が5字以内から25字以内に増えた。また、小問数が減った分、配点が高くなったので、正確さを求められた。

 設問形式は選択問題がほとんどだが、選択肢が8択や9択のものもあり、難易度が上がったと思われる。単純な知識事項や資料読解を選ばせるだけでなく、思考力を問う良問が多かった。全体の難易度は昨年度並みと思われる。

理科

 大問構成は例年通り。大問1が小問集、大問2~5が各分野から1題ずつ、大問6が融合問題(物理と地学)だった。

 昨年度からの変更点は、文章で答える記述問題がなくなったことと、計算問題が復活したことだ。それらの中で大問3のエタノールの質量を求める問題は、実験の結果と密度、質量パーセント濃度の意味の理解を求める、やや難しいものだった。

 全体としては、昨年度程度の難易度だったのではないかと思われる。

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