「セクシー田中さん」原作改変巡る契約書を交わさず 日テレと小学館

 日本テレビ系で放送されたドラマ「セクシー田中さん」の原作者で漫画家の芦原妃名子さんが亡くなった問題で、ドラマ化の際の原作改変に関する詳細な取り決めについて、日テレが版元の小学館と契約書を交わしていなかった。日テレが26日、明らかにした。一方で最終的な脚本は、芦原さん側の承諾を取っていたとし、対応に問題はないとの認識を改めて示した。

 芦原さんは生前、X(旧ツイッター)での投稿で、ドラマ化にあたり「漫画に忠実に」などの条件を小学館を通じて日テレに伝えていたが、当初の脚本では「大きく改変された」などと訴えていた。一方で、26日の日テレの定例会見で福田博之専務は「できあがった作品の二次利用などについては契約を結ぶが、ドラマ制作の詳細について契約書は存在しない」と語った。制作過程や著作者人格権に関わる契約については、「作品ごとにはない。法律に基づいた枠組みでの了解は当然あるが、約束事を文書で取り交わしているわけではない」と述べた。日テレではそうした対応は一般的だとした。小学館は朝日新聞の取材に、契約について「開示できない」としている。

 芦原さんは、昨年10月発売の第7巻の巻頭で、ドラマ化についてコメントし、「キャラやあらすじ等、原作から大きく逸(そ)れたと私が感じた箇所はしっかり修正させて頂いてる」とつづっていた。会見では、「(状況を)軽視していなかった。現場では懸命にドラマ10話を制作するために、努力していた」と説明。芦原さんは9、10話については自ら脚本を手がけたことを明かしていたが、そうした対応も、芦原さん側と検討を重ねた結果だという。

 今回日テレは、ドラマ制作の経緯を調べる社内特別調査チームを設置。コンプライアンス担当の山田克也取締役執行役員が責任者を務め、顧問弁護士の谷田哲哉弁護士のほか、外部から著作権分野に詳しい早稲田祐美子弁護士、コンテンツ制作の契約法務などに実績のある国松崇弁護士を招く。26日の会見で石沢顕社長は、「厳粛に受け止めている」と述べた。

 小学館からの協力も得て、脚本家や制作会社など外部の関係者にも聞き取りをしていくという。福田専務は、「(ドラマは)枠も増えている。本案件についてコミュニケーション不足、人員不足だったのでは、ということは想像できる。そのあたりを調査していく」とした。

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〈おことわり〉原作漫画の作者が漫画単行本にコメントを残した箇所は「昨年10月発売の第7巻のあとがき」ではなく、「昨年10月発売の第7巻の巻頭」でした。修正しました…

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    松谷創一郎
    (ジャーナリスト)
    2024年2月26日21時55分 投稿
    【視点】

    日本テレビは、2022~2024年の中期経営計画において「テレビを超えろ、ボーダーを超えろ。」をスローガンとしています。そして「コンテンツの価値最大化」など3つが重点目標として掲げられています。 これは前中期経営計画の延長線上にあるも

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