旧統一教会と「関係断絶」決議 取り消し求めた友好団体側が敗訴

森下裕介
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 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係を「断絶する」などとした地方議会の決議によって、憲法が保障する請願権などを侵害されたとして、旧統一教会の友好団体「UPF(天宙平和連合)大阪」が大阪府大阪市、同府富田林市に決議の取り消しなどを求めた訴訟の判決が28日、大阪地裁であった。横田典子裁判長は「決議は行政訴訟での取り消し対象にはならない」と述べ、取り消しの訴えを却下。原告側が合わせて求めていた各350万円の損害賠償請求も棄却した。

 同種の決議は富山市北九州市でも行われ、信者や教団が各地で提訴しており、判決は初めて。

 教団をめぐる問題を受け、富田林市議会は2022年9月、「旧統一教会との関係を断絶する」との決議を可決。大阪市議会は同11月、「旧統一教会などの反社会的団体の活動とは一線を画する」、大阪府は同12月、「旧統一教会などの悪質な活動とは一線を画する」とそれぞれ決議した。

 訴状によると、こうした決議で、原告側は議会への請願に必要となる「議員の紹介」を得られなくなったとし、請願権を侵害されたと主張。また、特定の信仰を理由とした差別にあたり、法の下の平等にも反して違憲とも訴えた。

 一方、自治体側は、決議は議会の意思表明にすぎず、行政訴訟で取り消される対象にはならないとし、請求の却下を求めた。また、紹介議員になるかどうかは各議員の判断で、決議の効力とは無関係だと訴え、違憲ではないと反論した。(森下裕介)

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    塚田穂高
    (文教大学国際学部教授・宗教社会学者)
    2024年2月28日19時14分 投稿
    【解説】

    統一教会側が地方議会の「関係断絶」決議について各地で訴えた一連の訴訟では、初の判決とのこと。判決文を精査してみないとわかりませんが、基本的には「筋違い」「取り合わない」という趣旨になるでしょうか。今後の訴訟の展開にも影響を与えそうです。

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