能登半島地震の被災地で、安否情報や避難後の生活情報をやり取りできるLINEの「オープンチャット」の利用が広がっている。地域コミュニティーごとにグループをつくれる利点から、新しい情報インフラとなっている。

 2019年にサービスの提供が始まったオープンチャットは、LINEを利用する人なら誰でも使える。普段はスポーツ、ゲーム、芸能人など、興味・関心が共通する人たちがチャットを交わす場となっている。

孤立集落の情報を知りたくて

 能登半島地震では、孤立状態となった集落についての情報を得たい人たちがグループを立ち上げたケースがあった。

 神奈川県在住の女性(28)は1月3日、石川県輪島市大沢町に済む親戚の安否を確かめたいと、「大沢町 情報交換」というグループ名でオープンチャットを立ち上げた。

 「連絡がとれた」「自衛隊による救助が始まった」といった情報がやり取りされ、女性は「オープンチャットのおかげで多くの情報が集まった」と振り返る。

 被災地ではほかにも多数のグループが立ち上がっており、避難後も炊き出しや店舗の営業再開といった情報が盛んにやり取りされている。

情報は正確か、注意が必要

 LINEの運営会社「LINEヤフー」によると、オープンチャットが災害時に広く利用されたのは今回が初めて。ただ、だれでも投稿できるために情報の正確性は課題で、広報担当は「真偽不明の投稿はうのみにしたり拡散したりせず、公的なサイトなどと照合してほしい」と話している。(小川尭洋