ウクライナへの関心を各国で比較 侵攻2年、SNS分析で見えたのは

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ブリュッセル=牛尾梓
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 ロシアがウクライナに侵攻してから、まもなく2年。ウクライナへの関心はどう変化したのか。X(旧ツイッター)で「ウクライナ」を含む投稿を分析すると顕著な傾向が浮かび上がった。7万2千人のフォロワーを抱え、Xでも積極的に発信する東京大の鈴木一人教授(国際政治経済学)による読み解きで見えたものとは。

 朝日新聞はSNS分析ツール「ブランドウォッチ(BW)」を使って、侵攻が始まった2022年2月24日から23年12月31日(日本時間)までに、日本と米国、ドイツ欧州連合(EU)27カ国の4地域の投稿、計約1億3600万件(リポストを含む)を抽出。日本は「ウクライナ」、日本以外は「Ukraine」を含む投稿を対象にした。

 期間を①22年2月24日~8月28日(侵攻当初)②8月29日~11月11日(クリミア橋爆発など、ウクライナの抗戦)③11月12日~23年6月7日(ロシアによるインフラ攻撃)④6月8日~10月6日(ウクライナの反攻)⑤10月7日~12月31日(パレスチナ自治区ガザ地区での武力衝突後)の五つに分けて分析した。

 鈴木教授がまず注目したのは、全地域を通じた投稿数の急激な減少だ。22年2~3月をピークに、右肩下がりに投稿数が減っていた。侵攻から1年を経たころに一瞬浮上するが、おおむね②の時期から現在まで、ほぼ横ばい状態だ。「ウクライナによる反転攻勢が期待していたレベルのものではなく、膠着(こうちゃく)している空気感がよく表れている」という。

 特にその減少率が最も大きかったのが日本だ。侵攻開始直後の1週間に約300万件あった投稿が、23年12月の最終週には約10万件で、ピーク時の3%にとどまった。EUは11%、ドイツは10%、米国は8%だった。鈴木教授は「日本はウクライナに直接武器を支援するわけでもなく、関心はあまり高くないことがうかがえる」と指摘する。

記事の後半では、投稿された単語がどういう文脈で使われたかを可視化する「共起ネットワーク」を使って、鈴木教授に解説してもらいます。

 一緒に投稿された単語がどう…

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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2024年2月24日23時44分 投稿
    【解説】

    私の見立てをとても丁寧にまとめていただいたので、特別付け加えることはないが、米欧の間でもウクライナへの関心には大きな差があり、アメリカの議論が国内の問題に集中しているという印象を強く持った。また、言語の違いから、日本語は「ウクライナ」と「ウ

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