第2回「魂までは壊せない」あの日、私は思った 願うはウクライナの勝利

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藤原学思 杉山正

 ロシアによるウクライナ侵攻からまもなく2年。ウクライナ市民や兵士に「最も忘れられない1日」を聞くと、ロシア軍によって破壊された故郷への思いや、平和への願いがあふれ出ました。市民の2年間を伝える連載の2回目です。

リリャ・クジックさん(35)@リビウ 9月11日 恋人が告げたイジューム解放

 ロシアによる全面侵攻が始まった当日、私の恋人は「行かなくちゃ」と言い、前線に向けて旅立ちました。それから何が起こるのか、誰もわからないし、私のコントロールできるものではありませんでした。

【連載】私の、あの日 ウクライナ侵攻2年

ロシアによるウクライナへの全面侵攻が始まってまもなく2年となります。ウクライナの市民にとって「最も忘れられない1日」はいつだったのか。戦争が日常化する中で、人々が抱えてきた思いを取材しました。

 直前まで「ジョージアにスキーに行こう」と計画を立てていました。そんな日々は一変しました。彼は前線にいて電波が悪く、ほとんど連絡が取れませんでした。「大丈夫だろうか」。あまり眠れませんでした。

 私は2022年9月から1年間、奨学金を得てロンドンに留学することになっていました。自宅のある西部リビウを出発する前日の9月11日、彼からビデオ電話がかかってきました。

 「大丈夫?」「大丈夫だよ」。それから彼は、まさにその日、自分のいる東部イジュームが解放されたと告げました。本当にうれしい知らせでした。

 この2年間で、彼とは6回ほど顔を合わせました。会えるのは1~2日だけ。でも、それで十分。プライスレスな時間です。

 戦争に「絶対的な勝利」というものはあるのでしょうか。少なくとも、正義が勝つように、この世界ができる限りのことをしてくれるよう願っています。

オルハ・プリュシチさん(38)@チェルニヒウ 2023年4月11日 破壊された故郷を訪ねた

 私の出身は北部チェルニヒウ…

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この記事を書いた人
藤原学思
ロンドン支局長
専門・関心分野
ウクライナ情勢、英国政治、偽情報、陰謀論
杉山正
ヨーロッパ総局長
専門・関心分野
国際政治、紛争、外交、民主主義
ウクライナ情勢

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