認知症への理解、VRで深めて 徳島・阿南で研修会

吉田博行
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 認知症の症状を疑似体験できるVR(仮想現実)の機器を使って、認知症の人への理解を深めてもらう研修会がこのほど、徳島県阿南市役所であった。認知症になっても安心して暮らせる社会をめざす、朝日新聞社の「認知症フレンドリープロジェクト」の担当者が講師を務めた。

 研修会は1月25日にあり、地域の高齢者らを見守る認知症サポーターら約30人が参加した。講師の朝日新聞メディア事業本部の坂田一裕プロデューサーは、30代後半で認知症と診断された会社員の男性が、勤務先など周囲の人たちの理解で自立して仕事を続けている事例を紹介。「認知症の人の視点に立ち、本人が感じる不安を理解して支援に役立てることが大切」と呼びかけた。

 続いて参加者は、双眼鏡のような形のVR機器をのぞき、認知症の人の視覚を通して見た日常生活の再現映像を視聴。空間認識能力の低下で距離感がつかみにくくなったり、階段を下りづらくなったりする様子を体験した。

 市内の大久保キヨ子さん(78)は「認知症を病気としてだけ見るのではなく、その人の心のあり方をちゃんと見なければいけないと分かった。本人の思いを引き出せるように活動していきたい」と話した。

 朝日新聞社は徳島県や医療機関、自治会などの依頼を受けて、2020年から県内各地で「認知症フレンドリー講座」を開催。阿南市で15回目となった。(吉田博行)

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