JR北、赤字8線区の存続策決定を3年先送り 国に総括的検証を報告

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新田哲史

 JR北海道は30日、「単独では維持困難」ながら国や自治体の支援を受けて存続する方針の赤字8線区をめぐり、具体的な存続策の決定を3年ほど先送りすると発表した。国からの監督命令に基づき、今年度中の決定をめざしていた。新型コロナ禍により沿線自治体と鉄道利用促進の活動を十分にできず、費用分担の議論まで至らなかった。

 8線区は、JR北が2016年に「単独では維持困難」とした13線区のうち、輸送密度(1日1キロあたりの平均乗客数)が200人以上2千人未満の通称「黄色線区」。輸送密度200人未満で、すでに廃止・バス転換を決めた5線区は「赤線区」としている。

 国は18年にJR北に出した監督命令で、8線区では19~23年度を集中改革期間とし、沿線自治体と利用促進やコスト削減に取り組むよう求めた。そのうえで、23年度に取り組みの総括的な検証を行い、鉄道を維持する仕組みづくりを含む事業の抜本的改善策を検討するよう命じていた。

 JR北はこの日、8線区の沿線自治体の首長らと、5年間にわたる取り組みの報告書を札幌市内で国土交通省の担当者に提出した。ただ、そのなかで、事業の抜本的改善策については「検討に至らず」「今後3年間をめどにとりまとめたい」とした。

 背景にあるのはコロナ禍だ。利用促進策には観光列車の運行や列車内での特産品販売、駅前でのイベント開催などが含まれるが、コロナ禍で一部は中止や規模縮小を迫られた。5年間で計画通り実施できなかった事業は各線区の17~51%を占めた。

一定の効果上げつつある取り組みも

 実施できた取り組みでも、コ…

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