対UNRWA資金拠出停止、9カ国に 職員の攻撃関与疑惑で支援危機
昨年10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエルに行った攻撃に国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の複数の職員が関与した疑惑が浮上したことを受けて、UNRWAへの資金拠出を停止する動きが広がっている。深刻な人道危機にあるパレスチナ自治区ガザ地区での支援活動が続けられなくなる懸念も出てきた。
UNRWAによると、27日時点で9カ国が拠出を停止した。
ロイター通信は、同日までに拠出を止めたのは米国、オーストラリア、カナダ、英国、ドイツ、イタリア、オランダ、スイス、フィンランドだとしている。国連のグテーレス事務総長は28日の声明で、ガザ地区で200万人の市民がUNRWAの援助に頼っているとして、「UNRWAの現在の資金では、2月の支援に必要な要件を満たせない」と訴えた。
UNRWAのラザリーニ事務局長も27日、X(旧ツイッター)に「各国の資金拠出停止の決定で、UNRWAの人命救助支援は終わろうとしている」と投稿。声明で「ガザの人々の命と地域の安定はこの支援にかかっている」と訴え、資金拠出を見合わせた国々に再考を求めた。
この疑惑ではUNRWAの職員12人が昨年10月7日のハマスの攻撃に関与した可能性が指摘されている。グテーレス事務総長の声明によると、12人のうち9人をすでに解雇、1人は死亡しているほか、残る2人の身元の特定を進めている。
一方、イスラエルのカッツ外相は27日、Xへの投稿で、UNRWAがハマスとつながっていると指摘し、ガザ地区の再建にあたってはUNRWAに替わる機関が必要だと主張。より多くの国にUNRWAへの資金拠出を取りやめるように求めた。
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イスラエル・パレスチナ問題
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