終わらぬ戦闘…そのとき拍手が起きた 「地獄」のガザで広がるうわさ

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ラファ=ムハンマド・マンスール エルサレム=高久潤

 パレスチナ自治区ガザ地区で、ある「明るいうわさ」が繰り返し広がっている。イスラム組織ハマスの壊滅を狙うイスラエル軍の激しい攻撃で2万6千人以上が亡くなり、「この世の地獄」(国連)とすら称される地で、人々が希望を託すうわさとは――。南部ラファ在住のムハンマド・マンスール朝日新聞通信員が報告する。

 ガザの夜は、相変わらず深い闇で塗り込められている。

 イスラエルが電気の供給を制限し、ハマスとの戦闘開始から100日以上、ほとんど停電しているからだ。

 1月上旬のある夜、光が差すかのような明るい歓声が耳に飛び込んできた。

 子どもたちの声だ。

 暗くて辺りの様子はよく分からなかったが、方々から口笛も鳴り響き始めた。

 何が起こったのか。

 声のする方へ急ぐと、子どもたちが避難所の屋根の上ではしゃいでいた。

 母親ら数人が、満面の笑みを浮かべて見守り、拍手をしている人もいた。

 その場にいた男性たちが、口々に私に尋ねる。

 「記者か。停戦が決まったというのは本当か」

 ガザでは通信状況が劣悪なため、私を含めたジャーナリストも、外部からの情報を即座につかむのは難しい。

 停戦などという話はもちろん聞いていなかったが、情報の裏付けを取ろうと試み始めた、その時だった。

 近くでけたたましい爆撃音が…

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この記事を書いた人
高久潤
エルサレム支局長
専門・関心分野
グローバリゼーション、民主主義、文化、芸術
イスラエル・パレスチナ問題

イスラエル・パレスチナ問題

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