変装し潜入した女性記者たち 光った観察力、続くジェンダーギャップ

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 女性記者が行商や仲居に変装し、有名人宅や料亭、カフェーに潜入して、ルポをする――。「化け込み」と呼ばれた企画が、かつて新聞でブームになりました。

 歴史に埋もれた職業や型破りな女性たちを追いかけてきた文筆家の平山亜佐子さんは、化け込みを担った女性記者たちの仕事や人生について調査。彼女たちの突破力とともに、いまと地続きのジェンダーギャップも浮かび上がってきたそうです。

カフェーや遊郭へ

 ――「化け込み」という名前からして印象的です。今で言う潜入ルポみたいなものでしょうか。

 はい。同じ潜入ルポでも、男性記者は都市下層の生活をリポートする、いわゆるスラムルポが中心だったのに対し、女性記者たちが潜入した先はカフェーや遊郭などのサービス業や上流家庭でした。

 スラムルポは社会に訴えかける使命感が前面に出ているのに対し、女性記者の「化け込み」は、取材相手の苦境に同情しつつも、のぞき見的で、エンタメ要素が強い企画でした。

 ――なぜ、男女で差が?…

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    辛酸なめ子
    (漫画家・コラムニスト)
    2024年1月23日7時0分 投稿
    【視点】

     歴史の間に埋もれがちなディープな女性たちに着目した著作で定評がある平山さん。百年くらい前に「化け込み記者」という果敢な存在がいたとは知らなかったです。今よりも仕事している女性が少なかった時代に、かなりの勇気と使命感を持って化け込んでいたの

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男女格差が主要先進国で最下位の日本。この社会で生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。性別に関係なく平等に機会があり、だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダー〈社会的・文化的に作られた性差〉について、一緒に考えませんか。[もっと見る]