生成AI「ただ乗り」へ危機感 無断学習の歯止め案、国がパブコメへ

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平賀拓史 田渕紫織 根岸拓朗
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 生成AI(人工知能)による記事や画像データなどの無断利用が著作権侵害にあたる場合もあるとした「AIと著作権に関する考え方」素案について、文化審議会著作権分科会の法制度小委員会は15日、内容を大筋で了承した。パブリックコメント意見公募)を経て、今年度中に正式に決定する方針。

 著作権法では、生成AIに著作物を学習させる際は、原則として許諾は不要と定めている。生成AIによる「ただ乗り」(フリーライド)に対してクリエーターや業界団体から懸念の声が上がっていることを受け、文化庁は昨年12月に「考え方」素案を公表。特定のクリエーターの作品のみを学習した生成AIが作風をまねる懸念に言及し、クリエーターの著作権が及ぶ場合もあると指摘するなどした。現行の著作権法の解釈を明確にし、生成AIによる著作物の無断利用に歯止めをかけたい考えだ。

 15日の小委員会では、委員からの指摘を踏まえ改訂した素案を文化庁が提示。「ただ乗り」が指摘されている、検索エンジンを組み合わせた生成AIをめぐり、開発段階で許諾が必要になる場合について詳しい説明を加えた。生成AIが学習する既存のデータベースやウェブ上のデータに著作物が含まれ、その「創作的表現の全部または一部を出力すること」を目的としている場合に、許諾が必要になると記した。

 素案について委員からは大きな異論はなかった。一方で、「従来の著作権法は必ずしもAIを念頭に置いて設計されたものではない」として、既存の枠組みで対応できない場合は、将来的には立法の議論も必要だとする意見もあった。(平賀拓史)

「軽微利用」超えていると指摘

 生成AIを組みこんだ様々な…

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    仲村和代
    (朝日新聞社会部次長)
    2024年1月16日11時16分 投稿
    【視点】

    記事中のロイターのリポートでは、激変するメディアの環境が生成AIによってさらに加速し、かつてないほどの苦境にあることが指摘されています。そのなかに、海外のメディアの幹部のこんな言葉も引用されています。 「ビジネスとしてのジャーナリズムは

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    仲村和代
    (朝日新聞社会部次長)
    2024年1月16日18時19分 投稿
    【視点】

    ニックネーム「所沢のラグビーファン」さんから、上記のコメントプラスに感想をいただきました。過去のアーカイブ化などに加え、例えば役所や企業の発表に基づいた記事をAIに任せ、記者は調査報道などに人が関わることが必須な記事に注力することが必要では

    …続きを読む