非正規・民間委託の賃下げに歯止め 福岡市水道検針員に協約拡張適用
福岡市が民間委託する水道検針業務をめぐり、委託先企業すべてでパート検針員の最低時給を同じ水準にすることが決まった。労働協約の「地域的拡張適用」という制度で、福岡県が決定し、5日に公告した。この制度で非正規労働者が対象になる適用や公共サービスの民間委託先での適用は初めて。最低賃金に関する決定は約65年ぶりになる。
労働協約の地域的拡張適用は労働組合法に定められている。一定地域で労使が結んだ労働協約が、要件を満たすと同業他社を含む地域全体の労働者に適用され、労働条件の切り下げ競争を防ぐ効果がある。
今回の決定で拡張適用される労働協約は、最低時給1082円となるほか、実労働時間と検針件数月2千件以上~3500件以上などの4段階の条件を満たした場合の最低時給は1420~1605円になる。時給のほかにも、裁判員休暇の取得と賃金を保障、使用者は法の要件を満たす検針員を労働保険・社会保険に加入させる、といった内容もある。
福岡市水道局は市内の水道検…
- 【視点】
労働協約の地域拡張制度をこうした形で活用したのは画期的。労働組合が先に二社と労働協約を結んでいたうえ、拡張適用を申し立てた結果である。 労働協約の拡張適用は、本来は産業別に適用されるものである。フランスはこの拡張適用制度のおかげで、労
…続きを読む