今の若者はハラスメントに弱い? ヒオカさんが考えるZ世代への誤解
Re:世代論② ノンフィクションライター・ヒオカさん
多様化が叫ばれる現代、好みや価値観における世代間の差が縮まっているとの調査が発表され、「価値観でつながろう」との声も上がる。「世代論」は必要なのか、どう向き合えばいいのか。今こそ「世代論」を問い直し、新たな形を探りたい。
Z世代、ゆとり世代、さとり世代……。1995年生まれのノンフィクションライター・ヒオカさん(28)は、そのどれにも当てはまらない「中ぶらりん」だと言う。貧困や格差を見つめてきた立場から「意味のある世代論」「意味の無い世代論」について語った。
――自身の「世代」についてどう思っていますか?
さとり世代と、聞いたことはありますが、自覚はないですね。Z世代は数字上は1995年生まれも入っていて、同学年でも割とZ世代としてメディアにも出ているし、私もZ世代と言われたことはあります。でも、いわゆるZ世代の若者カルチャーというのは、今の中高校生か20歳前後。その目からみたら、「28でZ世代ね……」という感じでしょう。
かといってミレニアル世代ではないし。正直、自分がどの世代かはっきりしない。だから、95年生まれっていうのは、私的には「中ぶらりん」。どっちでもない。
――当てはまるものがない?
そうですね。ゆとり世代だなと意識することも、あまりないし。
不景気がデフォルト(初期設定)とか、常に不安があると言われてきましたが、私たちより上の世代が自分たちと比べて言っているのであって、私たちには生まれながらのこと。他と比べて自認できるわけがない。
自分たちがどういう時代感を持っているのかは結局、比較でしか生まれない。「自分たちの世代の特徴って何だと思いますか」と聞かれて分かるのは、30代、40代以上でしょう。
「世代でくくる」意味とは
――では、世代で分ける意味があるか、ないかについてはどうでしょうか。
「世代でくくる」ことには一定の意味、必要性はあると思っています。
私は40代以上の友人が多いのですが、その友人を通して初めて知ったのが就職氷河期のロスジェネです。時代のせいというか、就職状況が厳しくて、優秀な人たちも非正規(雇用)になっている時代があったのを、正直、知らなかった。
その世代ならではの苦しみを赤裸々に聞いたときに、それを知る意味では「氷河期世代」という言い方は必要だと思いました。
――端的に表す言い回しとして分かりやすいと。
はい。ただ、私がバックグラウンドとする「貧困」で言うと、氷河期世代の問題だけでなく、どの時代・世代をも貫く貧困の構造が間違いなくある。今、日本は貧しくなっていると言われますが、どう考えても貧しくない人たちもたくさんいます。世代・時代というよりは、追い込まれやすい属性の人たちがいるとの捉え方の方が正しいと考えています。
また、消費の傾向として、Z世代は「メリハリ消費」(自分が大切にしていることにはお金をかけ、それ以外の出費はできるだけ抑えるお金の使い方)と言うでしょう? けど、ミドルエイジだってメリハリ消費と言われています。マーケティングでは特徴付けないといけないからか、正直苦しいなと、しらけた目で見ています。
――売るためとか、戦略として使いやすいだけみたいな?
自分たちの世代は誤解されていると思うこともあります。
世代の違いを感じるのが、「ハラスメントへの耐性」です。今の若者は「すごい軟弱で、叱られた経験がなくてすぐ辞める」「ハラスメントに弱い」みたいなことを言われている。
バブル期と氷河期の間に潮目
――優しすぎる、とも言われますね。
強さのベクトルというか、尺度が変わっているのです。ハラスメントに耐える、感覚をまひさせる強さは今、必要ない。
マッチョな時代の、パワハラ…
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