ガザの命に直結するUNRWAの活動 イスラエルが批判する理由は
パレスチナ自治区ガザ地区を支配するイスラム組織ハマスが行ったイスラエルへの奇襲攻撃に、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員らが関与していた疑惑が、大きな波紋を呼んでいます。米国やフランス、日本などがUNRWAへの資金拠出の一時停止を決めました。イスラエル軍の攻撃が続くガザでは、UNRWAが民間人への人道支援を担っており、資金を断たれることでそれが滞る恐れが出ています。そもそもUNRWAとはどんな組織なのでしょうか。そしてハマスとの関係は? 中東政治・難民研究が専門の錦田愛子・慶応大教授に聞きました。
――UNRWAとは何をしている機関ですか。
パレスチナ難民に対して教育や医療を提供し、特にガザでは食料支援をしています。小中学校や医療機関も運営しています。
パレスチナ難民とは、おもにイスラエルが建国した1948年に家を追われ、生活手段を失った約75万人とその子孫を指します。49年に設立されたUNRWAのおもな支援対象は、46年からイスラエル建国までの約2年間に、パレスチナでの居住実績がある人たちです。パレスチナ自治区のヨルダン川西岸地区とガザ地区のほか、ヨルダン、シリア、レバノンに逃れた人たちだけが対象です。
もともとは、一時的な支援機関としてつくられましたが、パレスチナ問題がいまに至るまで解決されていないため、国連で数年おきにUNRWAの存続期間を延長しています。
難民問題に携わる国連機関としては、50年設立の国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)がありますが、UNRWAはあくまでパレスチナ難民の支援に特化した機関です。パレスチナ難民の問題をどう解決していくかは、政治に委ねられています。
ハマスが直接関与するのは困難
――ガザでは具体的にどんな…
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- 【視点】
UNRWAについて分かりやすく解説するこのようなインタビュー記事は重要だと思います。 UNRWAへの日本の資金拠出一時停止は、日本の人道感覚が疑われる措置と指摘されています。この資金拠出一時停止は、イスラエルを支援している人たちにとっては
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イスラエル・パレスチナ問題
イスラム組織ハマスが2023年10月7日、イスラエルに大規模攻撃を行いました。イスラエルは報復としてハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区に攻撃を始めました。最新のニュースや解説をお届けします。[もっと見る]