昼夜問わず野菜を自動収穫、AI管理の「ロボット農場」を生んだ危機

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石倉徹也 丹治翔
【動画】食べ頃のピーマンを自動で検出、収穫する自動収穫ロボット

 現役世代がいまの8割に減る2040年。労働力は1千万人以上も不足する。ロボットなどの自動・省人化技術は、難局を打開するゲームチェンジャーになるのか。記者が最前線を取材した。

スピードは人間がまだ上

 南国の冬の日差しが差し込むビニールハウス。銀色の筐体(きょうたい)がモーター音を響かせながら行ったり来たりしていた。宮崎県新富町にあるベンチャー企業「アグリスト」の農場では、ピーマンを自動検出して枝から切り取る収穫ロボット「L」が稼働中だ。

 ボタンを押すと、天井に張り巡らされたワイヤをつたって生い茂る緑の間を移動。3万枚のピーマン画像を学習したAI(人工知能)カメラ2台が取りごろの実を検出すると、アームが伸びて茎を切断し、ケースに入れる。

 ピーマン1個の収穫にかかる時間は1分。スピードでは人間にかなわないが、強みは昼夜を問わず休まずに収穫し続けられることだ。導入費は1台200万~300万円で、現状では1台が0・5人分の働きをする計算だ。一昨年、ロボットを導入したハウスの収穫量は10アール当たり17・4トン。宮崎県の平均的な指標の約1・4倍に達した。

 収穫作業は、農作業全体の半分の労働力を占めるとされる。人手が集まらず、収穫されずに残る「取りこぼし」は、ピーマンに限らず、今やどのハウスでも収穫量が上がらない要因だ。

 「もちろん人間の方が早い。ただロボットは急に休んだりしないし、シフトを組んだりする手間も不要。労働力として計算しやすい」。最高技術責任者(CTO)の秦裕貴さん(30)はそう話す。人手不足をロボットで補うのではなく、初めからロボット前提で農場を設計する発想の転換で、持続可能な農業を実現しようとしている。

■搬送も無人で…

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この記事を書いた人
石倉徹也
科学みらい部
専門・関心分野
数学、物理、宇宙・天文