累積赤字14億円の見込み 坊っちゃん列車で伊予鉄社長「努力限度」

戸田拓
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 【愛媛】11月から運休が続く伊予鉄道観光列車「坊っちゃん列車」のあり方を検討するため、松山市は18日、「坊っちゃん列車を考える会」の初会合を開いた。出席した伊予鉄グループの清水一郎社長は、今年度末の累積赤字が14億円に上る見込みと初めて明らかにし、「民間会社の努力の限度を超えた」として市にコストを負担するよう求めた。

 野志克仁市長が招集した会議は非公開で行われ、終了後に清水社長が報道陣の取材に応じた。

 清水社長によると、伊予鉄は、小型SLをかたどったディーゼル機関車が客車を牽(ひ)く列車2編成を自己負担で保守。運行自体の採算も当初から厳しく、2001年の運行開始後、赤字は多い年で1億円を超えたという。

 そのうえで「坊っちゃん列車には運転士3人が乗らねばならず、ディーゼル車の運転免許も必要。坊っちゃん列車1両と路面電車3両のどちらを取るか、苦渋の選択だった」と述べ、人手不足が運休の決定打になったとの事情を説明した。

 市は坊っちゃん列車関連で伊予鉄に昨年度までに1億円以上を支援したと説明していたが、大半は立ち上げ時の車両製作費に消えたという。

 清水社長はさらに、「松山市の観光部署にはその都度、担当役員が苦しい状況を相談していた」として、事前協議がないまま運休を発表したとする市の説明を否定。「坊っちゃん列車を道後温泉松山城と並ぶ観光コンテンツと位置づけるなら、たとえば市が費用を負担して私たちに全面委託することはできないか。それが可能ならば来春再開に向けて人手は確保する」と語った。

 一方、市によると、会合では観光関係者らから運行再開を求める声も上がったといい、「考える会」で議論を重ね、支援のあり方を検討していくとした。(戸田拓)

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