活断層か否かめぐり背水の陣の敦賀原発 空転する議論、新たな懸念も

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佐々木凌
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 日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の直下を通る断層が、活断層か否か――。原電が2015年11月に原子力規制委員会の審査を申請して約8年が経ち、ようやく「本題」の審査が始まっている。

 「これが最後というつもりで臨んでいただきたい」と山中伸介委員長が述べたほどの状況だが、原電の説明が空回りし、規制委との議論がかみ合っていない。

 東京電力福島第一原発事故後にできた規制基準では、後期更新世以降(約12万~13万年前以降)に活動した断層を、活断層としている。その真上に原子炉建屋といった重要施設の設置を認めていない。

 だが、2号機の原子炉直下の断層について、規制委の有識者会合は、13年と14年の2度、「将来活動する可能性のある断層」と指摘した。原電が審査を申請する前のこと。

 有識者会合の理屈はこうだ。

 ①原子炉から北に約300メートルの掘削溝(トレンチ)内の地表からで見つかった「K断層」が活断層である可能性が否定できない(活動性)→②原子炉建屋直下を通る断層とつながっていて、一連の構造である可能性が否定できない(連続性)→③活断層である可能性が否定できない――。

 有識者会合の指摘を覆さないと、廃炉が余儀なくされる。原電は15年、活動性・連続性のどちらも否定して審査を申請。だが、原電が地質データを規制委に無断で書き換えるなどの問題を起こし、審査は2度にわたって中断した。

 今年8月末に申請書が再提出され、活断層かどうかをめぐる本題の議論がようやくスタートした。

 K断層の活動性について検討する一環で、規制委は14、15両日、現地調査を実施した。

 初日は、トレンチ内でK断層がどの部分に見られるかなどを確認した。断層によって変異した層を特定してその年代が分かれば、断層が最後に動いた年代も判断できるからだ。

調査で新たな発見が

 調査の過程で、K断層の近く…

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この記事を書いた人
佐々木凌
西部報道センター
専門・関心分野
災害・防災、宇宙、原発・エネルギー、環境