多子世帯の大学無償化、対象は?額は?第1子が扶養外れると対象外も

山本知佳

 政府は11日、「こども未来戦略」案を公表し、3人以上の子どもがいる多子世帯について、2025年度から大学など高等教育機関の授業料などを「無償化」する方針を示した。ただ、家庭の所得制限はないものの、対象となる子どもは限られ、授業料免除には金額の上限も設けられた。

 対象となるのは、扶養する子どもが3人以上いる世帯の子で、所得制限はない。例えば3人きょうだいで、第1子と第2子が大学に在籍していれば、2人とも対象となる。ただ、第1子が卒業後に扶養を外れると、扶養する子どもが2人となるため、第2子と第3子は対象外となる。

 「無償化」となるのは授業料と入学金で、どちらも上限がある。

 大学の場合、授業料免除の上限は、国公立が標準額となる約54万円、私立は約70万円。私立は学校ごとに授業料が大きく違うため、私立大学の平均授業料(2021年度約93万円)と国立大学の授業料の差額の半分ほどを標準額に上乗せした額が支援対象となるという。入学金の上限は、国公立大が標準額の約28万円、私立大が平均的な入学金の額である約26万円となる。

 医学部や薬学部などの6年制の学部については、最大6年間支援を受けられる。大学だけでなく、短大や高専や専門学校に進学しても支援は受けられる。ただし、留年や出席率が低い場合などは対象から外れる可能性がある。

 進学先次第では「無償化」にならない場合もある。

 進学する大学や短大、高等専門学校が、直近3年度全ての収容定員が8割未満の場合は対象外となる可能性がある。専門学校は5割未満の学校。文部科学省は今後、ホームページで、対象校のリストを公表する。

 現在、年収380万円未満の世帯には、授業料減免と給付型奨学金を出す制度がある。24年度からは、年収600万円程度までの世帯のうち、扶養する子どもが3人以上の多子世帯と、私立の理工農系の学部で学ぶ学生がいる世帯にも対象を広げる。今回の「無償化」は、この制度の授業料減免について、所得制限なく多子世帯に広げる形になる。給付型奨学金については、現行制度の対象とならない多子世帯への給付はない。(山本知佳)…

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