中学受験、難関校で「優秀な生徒」に囲まれると… 研究が示すリスク
中学受験において、わが子に「優秀な同級生に囲まれて6年間を過ごして欲しい」と考え、難関校への進学を望む親は多い。だが学校内での順位が、その後の学力に影響するという研究がある。チャレンジ校を目指して、成績が低迷し続ける「深海魚」になるよりは、実力相応校を目指すべきなのか。
心理学には「小さな池の大魚効果」という理論がある。同じ能力であっても、同級生の学力が高い学校に通う生徒は、低い学校に通う生徒よりも「自分は勉強ができない」という自己概念を持ってしまうという現象だ。
この理論を裏付ける研究は海外には多くあり、学力だけでなく、大学の進学先や就職後の収入にも影響を与えるといったデータもある。一方で日本には、この理論を裏付ける研究がなかった。
慶応大の研究チームは、2015~19年度にかけて埼玉県内の62市町村の公立小学校・中学校に通う小学4年生から中学3年生を対象に実施された「埼玉県学力・学習状況調査」のデータを分析した。
テストには毎年約25万人が参加しており、同じ学力でも、通う学校や年度により順位は異なるという事態が発生する。研究では、学校内の相対内順位がその3年後の子どもの学力や、自制心や自己効力感といった非認知能力に与える影響を調べた。
その結果、小学生のときの相対順位が高い子の方が、中学生になったときの学力が高く、自己効力感も高くなることが統計的に有意な差で確認できた。
キーワードは自己効力感 「深海魚」になるのを防ぐ方法
とくに男子の数学については…
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