パレスチナ情勢 1月1日~9日(日本時間)にあったこと

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 イスラエルと国境を挟んで戦火を交えているレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは8日、ウィサム・タウィル司令官が死亡したと発表しました。AFP通信などによると、同氏は精鋭部隊の副官で、レバノン南部で車に乗っていて、イスラエル軍の空爆で殺害されたといいます。パレスチナ自治区ガザ地区でイスラム組織ハマスとイスラエルとの戦闘が続くなか、地域の緊張がさらに高まるおそれがあります。

 一方、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は7日夜、ガザ地区中部デイルアルバラのアクサ病院から、600人以上の患者と、医療関係者の大半が退避を余儀なくされたとX(旧ツイッター)に投稿しました。彼らの所在はわからず、一帯ではイスラエル軍による退避命令が出されていたと指摘。「アクサ病院はガザ中部に残る最重要の病院であり、その機能をこれ以上損なわせることは道徳的にも、医学的にも言語道断だ」と強く非難しました。

【動画】イランで起きた爆発=ロイター

(タイムスタンプは日本時間、括弧内は現地時間)

■■■2024年1月9日(日本時間)■■■

03:00(ワシントン8日13:00)

イスラエル軍報道官、「戦争は段階変えた」 米紙に

 イスラエル軍のハガリ報道官は、パレスチナ自治区ガザ地区への侵攻をめぐり「戦争は段階を変えた」と述べ、ガザ地区に駐留する部隊や、空爆の数を減らしたと明らかにした。米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。

 ハガリ氏は8日、同紙のインタビューに応じ、1月からガザの駐留部隊の数を減らし始めており、今後も継続するとした。「(戦闘の段階の)移行は儀式なしで行われるだろう」と述べた。また、ガザ地区北部での作戦の激しさはすでに弱まっており、今後、イスラム組織ハマスの拠点として、ガザ地区南部のハンユニスや中部デイルアルバラに攻撃を集中させるとの考えを示した。

 米国はかねてイスラエル側に、強度が低く標的を絞った作戦に移行するよう求めていた。

 同紙によると、イスラエル側は米当局者に対し、「1月末まで」に戦闘の強度を下げる移行作業を終えたいと考えているが、スケジュールは決まっていないと伝えた。戦闘の新たな段階では、少数精鋭のイスラエル軍の部隊が、標的を絞ってハマスの指導者の殺害や人質の救出、地下トンネルの破壊にあたるとみられる。米側はイスラエルに対し、より迅速に段階を移行するよう求めているとしている。

0:10(8日17:10)

「全面戦争に近づいている」 ヒズボラ司令官殺害でAP通信が論評

 イスラエル領への攻撃を続けているレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの司令官が殺害されたことをめぐり、AP通信は8日、「イスラエルや米国と、イランの同盟勢力がじりじりと全面戦争に近づいているとの懸念が強まっている」との論評を配信した。

 ヒズボラは、パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスと共闘関係にあり、ともにイランの支援を受けてきた。2日にハマスの幹部がレバノンで暗殺され、ヒズボラは6日、イスラエル北部の航空管制基地をロケット弾で攻撃。その2日後、ヒズボラのウィサム・タウィル司令官がイスラエル軍によるとみられる空爆で殺害された。AP通信は、「攻撃と反撃のたびに、ガザでの破滅的な戦争が地域全体に波及する危険性が高まっている」と指摘した。

 ヒズボラは8日、タウィル氏の生前の写真を複数枚、公表した。指導者のナスララ師とタウィル氏が握手する写真のほか、4年前に米軍に暗殺されたイランの精鋭部隊・革命防衛隊のソレイマニ司令官との写真もある。タウィル氏はヒズボラの精鋭部隊「ラドワン部隊」に所属していたと報じられており、組織内での重要性がうかがえる。

 カタールの衛星放送アルジャジーラに出演したレバノンの政治評論家は、イスラエルがここ1週間のうちにヒズボラやハマスとの戦い方を変え、直接戦闘に加わっていない人物も狙うようになったと指摘。ヒズボラからイスラエルへの報復が「24時間以内にあるかもしれない」と語った。

■■■2024年1月8日(日本時間)■■■

21:30(レバノン南部14:30)

ヒズボラ司令官が死亡 イスラエル軍が空爆か

 イスラエルと国境を挟んで戦火を交えているレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは8日、ウィサム・タウィル司令官が死亡したと発表した。AFP通信によると、同氏はレバノン南部で車に乗っていて、イスラエル軍の空爆で殺害されたという。パレスチナ自治区ガザ地区でイスラム組織ハマスとイスラエルとの戦闘が3カ月以上続くなか、ハマスと共闘するヒズボラの司令官の死亡により、地域の緊張がさらに高まるおそれがある。

 AFPなどによると、タウィ…

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    白川優子
    (国境なき医師団看護師)
    2024年1月9日2時54分 投稿
    【視点】

    罪のない市民を苦しませる戦争は1秒でも早く止めなくてはいけません。戦争は市民の未来を奪います。戦争が終わったとしても、生活の場、家族、社会、身体機能等々を傷つけられ奪われた市民は長く苦しみ、たとえ世代が変わったとしても苦しみが続くこともあり

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