福島の赤字4路線9区間、過去最悪の赤字 全線再開の只見線も

斎藤徹
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 JR東日本は、利用客が少ない地方路線の2022年度収支を公表した。県内を走る4路線9区間の赤字額は合計で72億5600万円と、前年度から8億800万円悪化。線区別収支を初めて公表した19年度以降で最悪となった。赤字ローカル線を取り巻く厳しい事情が改めて浮き彫りになり、路線の存廃をめぐる議論が加速する可能性もある。

 公表の対象となったのは、19年度時点で1日1キロあたりの平均利用者数が2千人未満の34路線62区間。このうち県内は水郡線、只見線、磐越西線、磐越東線の4路線9区間が該当する。当時不通だった只見線の会津川口(金山町)―只見間はデータを公表していない。

 4路線9区間の赤字額は、19年度65億800万円、20年度67億7千万円、21年度64億4800万円と推移してきたが、22年度は過去最悪を更新した。

 最も赤字額が大きかったのは水郡線磐城塙(塙町)―安積永盛(郡山市)間の10億9100万円だった。同区間を含め9区間のうち6区間が、前年度より赤字額が増えた。最も増えたのは磐越西線会津若松―喜多方間で、3億900万円悪化した。19年度以降で赤字額が最悪になったのは、水郡線の2区間と、磐越西線の野沢(西会津町)―津川(新潟県阿賀町)間をのぞく2区間だった。

 その同区間も、数字が小さいほど不採算であることを示す「収支率」が最も小さく、わずか0・7%だった。次いで水郡線常陸大子(茨城県大子町)―磐城塙間が1・7%だった。数字が最も大きかった只見線会津若松―会津坂下間も14・2%にとどまった。

 昨年10月に11年ぶりに全線再開した只見線は、公表された3区間とも赤字だった。赤字額は総額で21億4500万円で、前年度よりも4千万円悪化し、19年度以降で最悪だった。

 全線再開に伴う乗客増で運輸収入は2800万円増えたものの、営業費用も7千万円増えた。一時的に乗客が増えても、路線の安定的な収益確保に結びつけるのは難しいことが露呈した。

福島県内を走るJR東日本の線区の収支(2022年度、JR東日本公表分)

路線   区間        収支        前年度比       収支率

水郡線  常陸大子―磐城塙  ▼5億3000万円 8900万円   ↓ 1・7%

水郡線  磐城塙―安積永盛  ▼10億9100万円 1億9900万円 ↓ 9・6%

只見線  会津若松―会津坂下 ▼4億6700万円 500万円    ↑ 14・2%

只見線  会津坂下―会津川口 ▼9億500万円  1300万円   ↑ 2・9%

只見線  只見―小出     ▼7億7300万円 5800万円   ↓ 2・6%

磐越西線 会津若松―喜多方  ▼9億3800万円 3億900万円  ↓ 7・9%

磐越西線 喜多方―野沢    ▼9億4000万円 1億5400万円 ↓ 2・9%

磐越西線 野沢―津川     ▼8億8600万円 1900万円   ↑ 0・7%

磐越東線 いわき―小野新町  ▼7億2600万円 3600万円   ↓ 3・0%

 ※▼はマイナス。↑は改善、↓は悪化。JR東日本の資料を元に作成       

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この記事を書いた人
斎藤徹
山形総局|総局キャップ・県政担当
専門・関心分野
人口が減っても持続可能な地域づくり