佐野常民の銅像お披露目 博愛社設立の請願に向かう姿映す

三ツ木勝巳
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 幕末の佐賀藩士で、日本赤十字社の前身となる「博愛社」の創設者、佐野常民(1822~1902)の銅像のお披露目式が15日、佐賀市八丁畷町の佐賀県赤十字血液センターのそばのポケットパークであった。昨年の常民の生誕200年を記念して建てられた。

 銅像は、1877(明治10)年の西南戦争の激戦地熊本の方向を向いて立つ。右手を広げ、左手に博愛社の設立請願書を持っている。西南戦争の悲惨な戦況を聞いた常民が、征討総督だった有栖川宮熾仁親王に博愛社設立を願い出るため熊本に赴こうとする様子を表した。

 ブロンズ製で、銅像と台座を合わせて高さ約3・5メートル。制作と設置の費用を合わせて約2900万円。県文化振興基金から支出する。原型を制作した佐賀大学芸術地域デザイン学部の徳安和博教授は「すべての人に対して慈愛の心を持って請願に行く。ひたむきさと優しさを一緒に顔の表情に表すのに苦心しました」と振り返る。

 お披露目式には山口祥義知事や日赤関係者らと共に、東京在住で現在の佐野家の当主、佐野常具さん(76)も出席した。常具さんは「立派にできあがり、感激しています。生誕200年の現在までも、常民の志を未来の若者たちに顕彰していく地元の方々の取り組みに敬服しております」とあいさつした。

 銅像は、JR佐賀駅とサンライズパークを結ぶ道沿いに立つ。すぐそばの三差路の信号の名前は、銅像設置に先んじて今年5月に、「機動隊前」から「佐野常民像前」に変更されている。

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