限界に来たG7の「偽善」と「二重基準」 ガザへの攻撃、どう見るか

有料記事読み解く 世界の安保危機

牧野愛博
[PR]

 パレスチナ自治区ガザ地区で、イスラエル軍による地上作戦が始まりました。難民キャンプなど民間施設への空爆も続いています。東京外国語大学の黒木英充教授(中東地域研究)は「米国など主要7カ国(G7)のdouble standard(二重基準)とhypocrisy(偽善・欺瞞〈ぎまん〉)が、国際社会で大きな問題になっている」と指摘します。

 ――難民キャンプへの空爆などで大勢の民間人が亡くなっています。

 イスラエルはガザの「民族浄化」のために、住民を強制移動させつつ爆撃し、生活基盤を徹底破壊して、約1万人を殺害しています。これはすでに絵に描いたような国際人道法違反の戦争犯罪です。1948年国連総会採択の「ジェノサイド条約」に照らして、ジェノサイドに当たる可能性が高いと思います。

 ガザ住民の大半は、イスラエル建国以来、その領域から追放された難民の子孫です。イスラエルはガザを国際法に反して占領・封鎖してきました。境界での自由な往来を許さず、許可したわずかな物資しか搬入させず、さらに今回、水・電気・燃料・食料の全てを早々に遮断しました。

 不法な占領下の人々には抵抗する権利があります。民間人を拉致・殺害するのは犯罪ですが、イスラエル軍を攻撃するのは、国際法でも認められた抵抗権の行使だと言えます。

 ガザ地区では約1万人の死者…

この記事は有料記事です。残り1832文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    長野智子
    (キャスター・ジャーナリスト)
    2023年11月9日10時6分 投稿
    【視点】

    それぞれの国や立場によって「正義」が異なることは、これまでの長い歴史でも明らかですが、その正義を振りかざして何の罪もない幼い子どもたちを大量虐殺するようなことは人間としてあってはならない、それを止めることのできない「世界=国際社会」って何な

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    三牧聖子
    (同志社大学大学院准教授=米国政治外交)
    2023年11月9日11時19分 投稿
    【視点】

    市民を広範に巻き込むイスラエルの軍事行動は「自衛」では到底正当化できない、パレスチナの人々への「ジェノサイド」であるという批判は、国際社会でも、欧米の市民社会でもますます高まっている。 欧米諸国はイスラエルが遂行する「ジェノサイド」へ

    …続きを読む
イスラエル・パレスチナ問題

イスラエル・パレスチナ問題

パレスチナとイスラエルの間で激しい武力衝突が起き、双方に多大な犠牲者が出ています。最新の動きをお届けします。[もっと見る]