第6回創価学会員「何を今さら」島根補選敗北にみる自公関係25年の現在地

有料記事王国の崩壊 解剖自民党

国吉美香

 松江市のスーパーの駐車場には、自民党総裁で首相の岸田文雄とともに、公明党選挙対策委員長の西田実仁がいた。

 衆院島根1区補選の選挙期間で唯一の日曜日だった4月21日の昼下がり。岸田は約1千人の聴衆に「友党、公明党の皆さんが力強く推薦して下さっている」と連立関係をアピールした。西田は複雑な思いを抱えていた。後日、心中を周囲に明かした。「うちの支持者は、今回は自民におきゅうを据えたい気持ちが強いんだよ」

 島根を含む3補選は、裏金事件以降、初の国政選挙として強い逆風を受けた。さらに島根補選は、高額献金で社会問題を起こした世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係が指摘された前衆院議長細田博之の死去に伴うものだった。細田には生前、女性記者らへのセクハラ疑惑が報じられ、公明の支持母体・創価学会の選挙の主力である女性部を中心に忌避感が広がっていた。

 衆院への小選挙区制の導入以降、全国で唯一、自民党が議席を独占してきたのが島根県だ。今回の補選の敗北は、有力議員の競い合いで自民が各地で強固な地盤を誇った中選挙区時代のモデルが、島根という最強の自民王国でも崩壊したことを意味する。小選挙区導入から丸30年。個々の政治家が地方議員らを従えて戦う手法は機能せず、党の看板に左右されるようになった。そうした選挙のあり方が、いよいよ島根に及んだ。選挙制度など歴史的背景を踏まえ、検証していく。

 自民の地方議員は告示前に公…

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    蔵前勝久
    (朝日新聞政治部次長)
    2024年5月2日18時37分 投稿
    【視点】

    早ければ年内、遅くとも来秋までに次の衆院選は行われます。今秋の自民党総裁選で、党の「顔」が代わろうが、代わるまいが、裏金事件を背負う自民党は、これまでよりは厳しい戦いを強いられることになります。とりわけ自民党が政権に復帰した2012年以降の

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    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2024年5月3日7時4分 投稿
    【視点】

    自民王国・島根での、コアな自民・公明関係者の冷え冷えとした感じがよくわかる、タイムリーな連載でした。ここから全国的には何が言えるかで思うのは、次の国政選挙では投票率がそう増えなくても、自公支持者が投票に行かない一方で、無党派層が自公以外に投

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