アビスパのキング城後寿 優勝杯掲げ「思えた」ことと職員への計らい

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藤木健

 サッカーのルヴァン杯で優勝し、悲願の初タイトルを獲得したアビスパ福岡。在籍19シーズン、チーム最年長のFW城後寿(37)にとっては、間違いなく格別のものだった。

 「チームのみんなや、サポーターの方が喜んでいる姿をみてね、言葉にできない感情がこみあげた」

 福岡県久留米市出身で、2005年に長崎・国見高から福岡入り。以来、「苦しい時間の方が多かった」という。移籍の誘いがあってもとどまり続けた福岡一筋のバンディエラ(長年一つのチームで活躍した選手)は、「キング城後」と呼ばれて愛されてきた。

 4日、優勝が決まった直後の国立競技場。チームがゴール裏のサポーターへあいさつに訪れると、「キング」の大合唱がこだました。

 「これで弱いアビスパともサヨナラです」

 そう呼びかけると、またも大歓声がわいた。促されるように優勝杯を掲げると、FWウェリントンが音頭を取って仲間からの胴上げ。三たび宙に舞った。

 「俺、まだ引退してないんだけどな」

 この日はベンチ外。スタンドから優勝を見守った。3日の公式練習の後、決勝のメンバーには入らないことを告げられた。

 「誰しもがピッチに立ちたい、と思える機会。もちろん悔しかった」

 「『城後選手悔しいだろうね』『ピッチに立ってほしかったね』という思いの選手もおそらくいた。でも、そういうものを持ち込むと悪影響になる」

 「できていたかは分からないけど、チームがうまくいくように行動しよう、と考えて行動したつもり」

 6万人超えの観衆を前に、堂々とプレーする仲間を頼もしく感じていた。

 「もっと硬くなるかなと思っていたけど、みんな伸び伸びとプレーしていた」

 「これが(長谷部)監督の目指してきたサッカーなんだと。自分も信じてきてよかった」

 出場機会がなかったことで…

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