幕末の米蔵、復活 かつての物流拠点「川尻」の新名所に
加勢川の水辺に幕末に建てられた米の倉庫が、熊本市の記念館「熊本藩川尻米蔵」(熊本市南区川尻3丁目)としてよみがえった。28、29日には川尻の街を挙げて新名所の誕生を祝う。
市文化財課によると、川尻は薩摩街道を熊本城下から南下する際の最初の宿場町。豊臣秀吉の朝鮮の役では加藤家が、島原の乱では細川家が、それぞれ出兵した軍港でもあった。
水運を利用した物流拠点として発展し、江戸期には熊本藩が、年貢米を集積するために九つの米蔵を建てた記録がある。幕末の1840年代に建築された二つが現代まで残り、近くの船着き場などとともに2010年、国の史跡に指定された。市は14年から修復作業を始め、熊本地震で被害も受けた修復作業を、今秋無事に終えた。
大きい方の東蔵は、床面から切り妻屋根の頂点まで約9メートルの高さがある。米につく虫が杉柱に巣くった痕跡から、少なくとも5メートルは米俵が積み上げられたとみられるという。
長さは40メートル。発掘調査の結果、もとは60メートルほどあり、何らかの理由で両端を減築したことが分かった。
東蔵は内部に照明が取り付けられ、川尻の歴史資料を常時展示しているほか、イベント利用を想定。西蔵は利用法を検討中だが、しっくいの白い外壁をスクリーンにした上映会ができるという。
開館は午前9時半~午後4時半。月曜と年末年始は休館。来年3月末まで入館は無料。
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「熊本藩川尻米蔵」と周辺では28日と29日、開館記念の催しがある。
米蔵は両日午後5時半からライトアップ。29日は午前11時と午後1時半の2回、来場者に新米おにぎりをふるまう。午後6時からは西蔵の白壁を使ってアニメ版「アダムス・ファミリー」の上映会がある。
地元では、米蔵を挟む東西約1キロを「川尻蔵前通り」と命名。29日は、通りに面した清酒メーカー瑞鷹の蔵をカフェにし、清酒や甘酒で祝う「乾杯リレー」もある。
米蔵周辺の四つの寺は、28、29の両日午後5時からライトアップ。棺おけ体験会や音楽ライブ、ビールも飲める出店もある。詳しくは、フェイスブック「川尻お寺deフェスタ」で。
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