中間管理職は罰ゲーム? 働き方改革の成否占う炭鉱のカナリアは

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くらし報道部・科学みらい部次長 岡崎明子
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記者コラム「多事奏論」 岡崎明子

 最近、「管理職は罰ゲーム」といった記事をよく見かける。日本能率協会マネジメントセンターが今春、一般社員約1100人にアンケートしたところ、77%が「管理職になりたくない」と答え、その割合は5年前より増えていたという。

 パーソル総合研究所が企業の課長など2千人を対象に実施した調査では、組織で「働き方改革が進んでいる」と回答した管理職の方が、「進んでいない」と回答した管理職に比べ、自身の業務量も、組織の業務量も増えていたそうだ。

 残業規制されても仕事の量は減らず、人手も足りない。そんな負担感が高い管理職は意欲の低下、学ぶ時間が取れないなどの悩みを抱えていた。4年前の調査だが、今も状況は変わらないだろう。

 私自身も「デスク」という中間管理職に就いてから、10年近くが経つ。取材の指揮を執ったり、記者の原稿をチェックしたりと、やりがいのある仕事だ。

 が、なんせ、上からも、下からも、あれこれ言われて板挟みになる。メールや会議の量も桁違いに多く、さすがに時折、本気で心が折れる。管理業務に忙殺され、取材執筆から遠ざかっている自分を「歌を忘れたカナリア」に重ねては、山に棄(す)てられぬよう踏ん張っている。

 建築資材メーカーの未来工業は、働き方改革という言葉が生まれるずっと前から、残業ゼロ、年間休日140日という働き方を実践してきた。社員約830人の東証プライム上場企業で、「日本一社員が幸せな会社」とも言われる。

 それでいて創業以来、赤字なし。うらやましい。岐阜県輪之内町の本社で、社長の山田雅裕さん(60)に尋ねた。管理職はどんな働き方をしているんですか?

 「うちの会社は、管理職が部…

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この記事を書いた人
岡崎明子
編集委員|イチ推しストーリー編集長
専門・関心分野
医療、生きづらさ、ジェンダー、働き方
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    浜田陽太郎
    (朝日新聞記者=社会保障、定年後)
    2023年10月28日12時0分 投稿
    【視点】

    「改革を進めるなら、組織は同時に仕事量を減らす必要がある。長時間労働が評価される文化も、変えねばならないだろう」。筆者の心の叫び。ここが一番難しいですね。人口減少社会一般にも言えることで、日本の過剰とも言える丁寧なサービスは慎重に減らしてい

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    浜田陽太郎
    (朝日新聞記者=社会保障、定年後)
    2023年10月31日9時41分 投稿
    【視点】

    読者のニックネームMさんから、私のコメントへの感想をいただきました。ありがとうございます。「ガバナンスを意識するとそれにとらわれ過ぎて仕事量が増し、管理職の誰かがそれを負担する。人口減少社会で生産性を上げるためには仕事量を増やすのではなく減

    …続きを読む